【足利】市が来年度初めて実施する「市民と行政との協働事業」に、足利工業高産業デザイン科の企画案が採用された。事業名は「まちおこしデザイン・作品から元気な街!足利をつくろう!」で、4月から1年間かけて展開する。生徒たちは「足利の観光土産になる商品を開発して、市を盛り上げたい」と張り切っている。
 市は市民と協働のまちづくりを進めるため(1)観光・シティーセールス事業の推進(2)観光客への効果的なPR(3)魅力ある景観づくり−の施策課題を設定。9月から10月中旬にかけて企画案を公募した。同科は2年生6人が「市観光活性化プロジェクト実行委員会」を結成。「魅力ある観光資源を活用したデザインの提案や試作品を作成する」との企画書を提出した。同科は足利学校で11月開催した「全国論語素読の集い」を支援するTシャツやマグカップのオリジナル商品を開発するなど、地域活性化の活動を実践している。同実行委員の石沢里帆さん(17)は「今後メンバーを増やし、放課後や夏休みなどを利用して商品開発したい」と意気込む。
 協働事業には同科のほか、あしかがさぽーと会の企画案「巡回型ガイドブック付きウオーキングマップ」が採用された。市の名所や食事場所、トイレなどの情報や、まち歩きの推奨コースを盛り込んだガイドブックを作成する。

本記事では,足利市における提案公募型協働事業の取組を紹介.同事業に関しては,同市HPを参照*1
「観光・シティセールスPR事業推進のための取り組み」,「足利にいらした観光客への効果的な観光PR」,「魅力ある景観づくりを推進するための取り組み」の3つの「テーマ(課題)に対して」,「市民自らが企画した協働事業を募集」し「市との協働事業として実施」*2する同取組.「1企画提案あたりの市の負担額(委託料)」は「50万円以内(消費税及び地方消費税含む)」とされ,「市負担(委託料)のほか」「サービスの受益者から実費程度の参加費を徴収し充てること」また「団体の自己資金を充てること」による提案事業の実施も可能.募集に対して,「第1次審査」は「書類審査」,「第2次審査」は「公開プレゼンテーション」*3を行い選考される.「平成24年度」実施分の上記「3件の課題(テーマ)」に対しては,2つの課題に1件づつの「企画提案」があり,それぞれ「採用」*4されている.
自治政」は,「住民を起点とした自治体への信託と民主的統制によって体系づけられる」論理と,「地域の様々な主体の協働関係によって構成される」論理からなり,「この2つの論理の網目にしっくりと整合性をもって実践に供せられる」*5ものとも解される.ただし,この2つの論理は「ときに」「衝突することもありうる」「緊張関係」*6にもある,ともされる.公募企画数に対しての提案される団体等が限定的となった背景には,当該分野の事業に関しては,同事業への認知度に起因するものか,市側への信託をされたものとして解することが適切か,または,「価値の共有」*7はなされつつも,場合によっては想定されうる緊張関係を回避されたものとして解することが適切なのだろうか.公募型事業に対しての各種団体等への応募増進策は,悩ましい課題.考えてみたい.

*1:足利市HP(組織でさがす市民活動支援課)「足利市行政提案公募型協働事業の委託候補対象事業が決定しました

*2:足利市HP「平成23年度(事業実施平成24年度) 行政提案公募型協働事業 募集要領」1頁

*3:前傾注2・足利市平成23年度(事業実施平成24年度) 行政提案公募型協働事業 募集要領)2頁

*4:前傾注1・足利市足利市行政提案公募型協働事業の委託候補対象事業が決定しました)

*5:大杉覚「「政策の窓」を開く自治アウトソーシング」『季刊行政管理研究』No.136,2011年12月号,4頁

*6:前傾注5・大杉覚2011年:5頁

*7:田尾雅夫『市民参加の行政学』(法律文化社,2011年)126頁

市民参加の行政学

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