熊本市は1日、全国20番目の政令指定都市に移行した。九州では北九州、福岡両市に次いで40年ぶり。熊本市は県並みの権限を持つ政令市への移行を好機に、恵まれた自然環境と住環境を生かし、「日本一暮らしやすい政令市」を目指す。県政浮揚のけん引役としても期待されている。市は同日未明にかけて、市中心部で記念イベントを開催。市民らが「政令市・熊本」誕生の瞬間を祝った。
 国が合併特例法下で政令市の人口要件を70万人程度に緩和して以降7市目の移行で、国の緩和措置に基づく政令市としては同市が最後になる。政令市移行に伴い、中央と東、西、南、北の五つの行政区を設置。「住民サービスとまちづくりの拠点」と位置付ける5区役所は2日から業務を始める。区バスのコミュニティ路線(ゆうゆうバス)も運行を始める。
 県からの権限移譲に伴い、317事務も引き継ぐ。国県道の維持管理や都市計画決定、小中学校教職員人事などを担う。イベントは31日午後10時に、熊本市上通町のびぷれす広場でスタート。在熊の音楽家やオーケストラなどの演奏の後、1日午前0時直前から参加者らによるカウントダウンが始まった。政令市までの残り秒数がスクリーンに表示され、日付が変わった瞬間、幸山政史市長、津田征士郎市議会議長らがくす玉を割り、市民から歓声と拍手が上がった。幸山市長はイベント後、市役所南玄関前に移動。区名が入った「中央区手取本町1」と記された新しい街区表示板も取り付けた。同市の人口は73万4474人(10年国勢調査)、面積約390平方キロ。1889(明治22)年の市制施行以来、周辺町村との18回に及ぶ合併を実施。10年3月の旧城南、植木両町との合併で、人口70万人を突破した。(森紀子、平井智子)

本記事では,熊本市政令指定都市への移行を紹介.
2011年10月6日付の本備忘録で記録したように2011年10月18日付の閣議決定を受けて,本日より移行.同市HPでも紹介されているように「全国で20番目,九州で3番目」*1
改めて同市HP上の「熊本市のこれまでの歩み」を拝見させて頂くと,1977年には「人口が50万人を突破」されている同市.人口要件のみでは,政令指定都市制度の法定上の指定要件は満たされている.方や,総務省が整理されている資料「指定都市制度の概要」*2では,人口要件に加えて,「政令指定の要件としては,法の文言では人口50万以上とのみ規定されているが,立法の経緯,特例を設けた趣旨から,人口その他の都市としての規模,行財政能力等において既存の指定都市と同等の実態を有するとみられる都市が指定されているところ」との事実認識も示されてきている.
しかし,2009年5月22日付の本備忘録で試みた,同制度の移行年による区分に基づけば,同市は,遅れてきた「00(ゼロゼロ)世代」としても含まれうることにもなり,「00世代」の政令指定都市が,20都市中7都市とその3分の1ともなる.そのため,「人口その他の都市としての規模,行財政能力等において既存の指定都市と同等の実態を有するとみられる都市が指定」されうるものであれば,今後も「漸増」*3しうる可能性も内包するとも考えられなくもない.今後の同制度の運用もまた,要観察.

*1:熊本市HP(行政情報熊本都市圏・政令指定都市・合併)「政令指定都市「熊本」が誕生しました!!

*2:総務省HP(政策地方行財政地方自治制度地方公共団体の区分)「指定都市制度の概要

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)46頁

ホーンブック 地方自治

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