読み方が難しい市の名前をPRに生かそうと、宍粟(しそう)市は千葉県匝瑳(そうさ)市との交流を始める。匝瑳市も難読市名を売りにしており、6月に宍粟市である「さつき祭り」に、匝瑳市の職員有志で結成したご当地ヒーローが初登場。宍粟市のマスコットと強力タッグを組んで両市のPRを進めることを確認しあう。
 宍粟市では昨年11月に若手職員が知名度アップをめざした部会を結成。あれこれPR方法を考えていたところ、「日本の珍地名」(竹内正浩著、文春新書)で、宍粟市の地名が読みにくさで「西の横綱」になっていることを知った。市役所に届く郵便物でも漢字が間違っていることが多く、「穴栗」と書かれていたことも。そこで、難読市名を逆手にとり、町おこしにつなげることにした。匝瑳市も同書で読みにくさの「東の横綱」。昨年4月から難読市名を生かした催しを企画し、オリジナルまんじゅうやご当地アイドルをつくり、夏には市職員が「匝瑳」の文字が入ったアロハシャツを着て仕事をしてアピール。2007年にデビューした3人組のご当地ヒーロー「ハリキリ戦隊ソーサマン」のイベント出演も増やしている。
 今回の交流は、難読市名のPRで先輩格の匝瑳市宍粟市の取り組みを知って提案。宍粟市山崎町中広瀬の夢公園で6月2、3日にあるさつき祭りの2日目に匝瑳市職員が「ソーサマン」のステージショーを披露。妖精の女の子という宍粟市のマスコット「しーたん」を、怪獣「アナグリ男」から守るという筋書きで協力関係をアピールする。匝瑳市商工観光室の林勝美室長は「合併で生まれた市であることや、人口規模など似ている点が多くて宍粟に親近感がわいた。横綱対決でなく、アピールは仲良くしたい」。宍粟市まちづくり推進課の西嶋義美さんは「全国に宍粟を発信するきっかけにしたい」と期待をかける。ステージショーは6月3日午後1時半から。(神山純一)

本記事では,宍粟市匝瑳市における都市間交流の取組を紹介.両市間での交流の詳細は,現在のところ,両市HPでは確認できず,残念.
本記事を拝読させて頂くと,両市ともに「難読市名」であり,加えて,匝瑳市は「東の横綱」,宍粟市は「西の横綱」にあるようであり,読み方の難しさを機縁とした結びつきにより両市間で交流を開始される模様.なるほど,「難市名」を利活用した「地域に対する一体感や愛着」*1を醸成されそうな同交流取組.興味深い.勿論多分に漏れず難読であるか否かは,個々の読み手側次第ではあるものの,他の「難読」自治体名間とも水平的な連携が図られることになると,更に興味深そう.今後の交流広がりも要観察.

*1:真山達志『政策形成の本質』(成文堂,2001年)164頁

政策形成の本質―現代自治体の政策形成能力

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