都と全六十二区市町村が連携し、個人住民税の徴収率をアップさせる「個人住民税徴収対策会議」が三十日、発足した。国からの税源移譲で住民税の重みが増す中、都と区市町村は定期的に情報交換し、互いのノウハウを生かす。
 この税の徴収態勢は自治体によってまちまちで、人手やノウハウ不足に悩む自治体もある。都は二〇〇四年、個人都民税対策課を設置。徴収が難しい場合、区市町村に代わって引き受けたり、区市町村に職員を派遣したりしてきた。都主税局の新田洋平局長は初会合で「個人住民税は税源移譲で主要な税目になったが、経済情勢で、徴収率は低減傾向にある。極めて厳しい財政の中、徴収は課題になっている」と、区市町村の担当幹部に連携を呼び掛けた。年末の休日に管理職と新人がペアを組んで訪問徴収する中野区の取り組みや、課税や徴収の担当者が三人しかいない小笠原村に都主税局のOBを派遣し、徴収率を上げた事例も紹介した。今後、実務担当者による作業部会で区市町村の共通課題や、協力して実施する事業を検討。来年二月ごろ、検討結果を報告する。
 国の三位一体改革で、国税所得税の一部は二〇〇七年、地方税の個人住民税に移行。都税に占める個人住民税の割合は、〇六年度の9・1%から一〇年度の18・2%に倍増した。しかし、徴収率は〇八年のリーマン・ショック後に低迷。一〇年度の個人都民税の徴収率は91・9%で、都民税全体の96・8%を下回っている。
<個人住民税> 地方税の一つで、都民税と区市町村民税がある。区市町村は両税ともに一括して徴収する。課税額は、所得に応じて変わる「所得割」と、基本料金にあたる定額の「均等割」からなる。企業などから徴収する法人住民税もある。

本記事では,東京都と東京都に位置する市区町村における住民税徴収の取組を紹介.東京都における都民税の徴収率は,平成22年度都税収入決算見込額」を拝見させて頂くと,1989年度から2010年度までの間では,1996年度が87.4%と底打ち状態となるものの,その後,2000年度から徴収率が高まり,2007年度には94.7%に上昇.しかし,その後は,なだらかに低下しつつあり,2010年度では本記事に紹介されているように91.9%*1となっている.これは,本記事後段にも紹介されているように,都税全体の徴収率も同期では,確かにやや低下傾向にはあるものの,96%程度であることと比べると,都民税ではやや急速な徴収率の低下傾向を窺うことができる.
同都では,2004年度には,「個人都民税対策室」*2を設置され(本記事では,「個人都民税対策課」と報道されていますが,「室」と課の何れが正しいのでしょうか.要確認),市区町村の「人的リソースの制約」*3に対して,「滞納整理担当職員の区市町村への派遣」を実施.例えば,同室が設置された2004年度では「12区市」に対して,「1自治体あたり2か月間」の期間では「1班3名体制で派遣」*4を実施されてきている.本記事を拝読させて頂くと,東京都と東京都に位置する市区町村が「個人住民税徴収対策会議」を設置し,定期的な情報交換を開催されることを紹介.同情報交換を通じた「徴税率向上」の「効果」*5に至るようにと,どの程度「互いのノウハウ」が共有が進められるかも,興味深そうな観察課題.

*1:東京都HP(各局のページ主税局都税統計情報)「平成22年度都税収入決算見込額

*2:東京都HP(各局のページ主税局お知らせ)「『個人都民税対策室』発足式について―全国初の個人住民税専担組織―

*3:手塚洋輔「徴税行政における組織と人材」財団法人日本都市センター編『徴税行政における人材育成と専門性』(財団法人日本都市センター,2012年)6頁

徴税行政における人材育成と専門性(ブックレット29) (日本都市センターブックレット)

徴税行政における人材育成と専門性(ブックレット29) (日本都市センターブックレット)

*4:東京都HP(各局のページ主税局刊行物のご案内)「あなたと都税2004(平成16)年度 11月号

*5:村上祐介「徴税行政の人材育成における自治体間連携の手法と可能性」24頁(前傾注3・財団法人日本都市センター編2012年,所収)