兵庫県丹波市は、十分な睡眠が健康につながることをうたった「ぐっすり・すやすや条例(仮称)」の制定を目指している。市民の不眠傾向が全国平均よりやや高く、不眠が生活習慣病の発症に影響することなどから検討。市によると、睡眠を切り口にした条例は県内では珍しく、年内にも条例を提案する予定。(阿部江利)
 市によると、「睡眠が十分に取れていない」と答えた市民は25・1%で、全国平均の22・8%をわずかに上回っている。また、心疾患や脳血管疾患など、生活習慣病で亡くなる人の割合も県平均よりやや高いという。市は、市民生活の質の向上や健康づくりを目指し、2006年度から「健康たんば21計画」を展開している。しかし、市民に浸透しているとはいえないといい、睡眠を切り口にして健康の大切さを訴えることにした。条例には、食生活▽運動▽こころの健康▽喫煙▽健康管理‐の五つの観点から眠りの質を良くする対策を盛り込む。具体的には、眠りやすくなるストレッチ体操の普及や、「お酒の飲み過ぎは眠りを浅くする」「タバコのニコチンは覚醒作用がある」といった情報などを紹介する健康教室や相談会の開催を検討する。市健康課は「睡眠を通して、市民に健康づくりの大切さについて考えてもらいたい」と話している。

本記事では,丹波市における健康増進に関する条例の制定方針を紹介.こっそりと,政策(手法)の設計と実施から関心をもって観察させて頂いている課題の一つでもある健康と生活習慣.興味深そうな取組.
同市が2006年に策定された『健康たんば21計画』では目標値を置き,2011年現在での達成度を把握のうえ,評価,公開されている.その結果,「目標値以上改善」で合った項目が18項目,「改善」が図られた項目は5項目,「変化なし」であったものはなく,「策定時以下」で合った項目は11項目とある*1.本記事で紹介されている「睡眠による休養を十分に取れていない人の割合の減少」を拝見させて頂くと.2006年の同計画の策定時の現状は,男性は「45.7%」の現状に対して「41.1%以下」の目標値を設定.女性は「睡眠による休養を十分に取れていない人の割合」が高く「50.7%」であり,目標値は「45.6%以下」と置かれている.
2011年の実績値は,男女いずれも「30.0%」とあり,「目標値以上改善」*2との評価になっている.「心身の健康は,個人の生活習慣や健康管理によってのみ守られるものとはいえない」*3ものの,生活習慣はやはり個々の私的な分野でもあり,「個人の自由と人々の健康という二つの価値の間」の「緊張関係」*4からも,自治体がその改善を促すにはやや難儀な政策分野でもある.同市の場合,睡眠に関しては,改善が図られていることもが分かる(どのように「対象集団」*5に接近し,睡眠を促されたのだろう,興味深そうです).
本記事を拝読させて頂くと,「ぐっすり・すやすや条例(仮称)」を策定され,「睡眠を切り口にして健康の大切さを訴える」方針にあるという.「訴える」方とともに,具体的な「対策」は,同条例の制定後,要確認.

*1:丹波市HP(各課のご案内健康課(氷上保健センター1階)健康たんば21計画)「「健康たんば21」 資料集」9頁

*2:前掲注1・丹波市(「健康たんば21」 資料集)9頁

*3:沼尾波子「市民の健康を守る」『月刊地方自治職員研修』636号,2012年8月号,12頁[rakuten:book:15960261:detail]

*4:児玉聡『功利主義入門』 (筑摩書店,2012年)

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

*5:星旦二編著『あなたのまちの健康づくり』(新企画出版社,2001年)122頁

あなたのまちの健康づくり―みんなで進める「健康日本21」

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