老朽化で倒壊などの恐れがある空き家をめぐり、千葉市は所有者に適正な管理を求める条例の制定を目指している。所有者が措置命令に従わない場合、撤去などの行政代執行の規定も盛り込む方針で、市は15日からパブリックコメントを実施。12月議会に提案し、来年4月から施行する予定。
 市市民サービス課によると、2008年の国の調査では、市内には5万4250戸の空き家が確認され、1998年と比較すると7%増加している。確認された空き家のうち1万610戸で破損があったという。1人暮らしの高齢者が死亡した後の住宅に、子どもなどの家族が居住しないことが空き家増加の要因の一つになっているとみられる。空き家が放置されたまま老朽化すると、倒壊の可能性が高まるほか、樹木や雑草が伸びて近隣住民の生活環境が阻害されるなどの影響がある。また、内部に人が侵入して火災や犯罪につながる恐れもあるとされる。市には本年度、空き家に関する市民からの相談が68件(7月末現在)寄せられているという。市が制定を目指している「空き家等の適正管理に関する条例」では、空き家の所有者の責務を明確にし、適正な管理を促す狙いがある。

本記事では,千葉市における「空き家等の適正管理に関する条例」の制定方針を紹介.同条例案パブリックコメントの取組は,同市が2012年9月3日に発表された「記者発表資料」を参照*1
同資料内で,パブリックコメントの対象とされている条例案の「詳細は,別紙1「千葉市空き家等の適正管理に関する条例 (案)の概要」のとおり」「別紙2 「千葉市空き家等の適正管理に関する条例(案)」について」*2との記載があるものの,両別紙は同資料とともにHP上では掲載されていないようでもあり,確認できず.残念.パブリックコメント開始後,要確認.
同「記者発表資料」を拝読させて頂くと,「空き家等の所有者等」に「空き家等の適正な管理を求める」こと,そして,「管理不全な状態となっている空き家等の所有者等」へ「指導,勧告,措置命令を行」うことを目的とされた同条例案.「措置命令後」に「命令代行措置や公表,行政代執行が行うことができる旨」を「規定」*3される様子.つまりは,「行政指導どまり」*4には留まらない規定が設けられている模様.方や,制度整備により,その履行を「市民から迫られる可能性」*5をもちつつも,「機能不全」*6とも解されることもある「代執行」.「実効性確保」*7としての威嚇効果とともに,実際の履行が図れることもになるのだろうか.同条例制定後の実施過程も,要経過観察.

*1:千葉市HP(組織から探す総務局市長公室秘書課報道室記者発表資料最新)「「千葉市空き家等の適正管理に関する条例(案)」のパブリックコメント手続の実施について

*2:前掲注1・千葉市(「千葉市空き家等の適正管理に関する条例(案)」のパブリックコメント手続の実施について)

*3:前掲注1・千葉市(「千葉市空き家等の適正管理に関する条例(案)」のパブリックコメント手続の実施について)

*4:北村喜宣「空き家対策の自治政策法務(2)」『自治研究』第88巻第8号,2012年8月,56頁

自治研究 2012年 09月号 [雑誌]

自治研究 2012年 09月号 [雑誌]

*5:前掲注4・北村喜宣2012年:64頁

*6:櫻井敬子『行政法のエッセンス』(学陽書房,2007年)160頁

行政法のエッセンス

行政法のエッセンス

*7:北村喜宜「行政罰・強制金」磯部力・小早川光郎・芝池義一『行政法の新構想2』(有斐閣,2008年)139頁

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法

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