高松市は2013年度、市内にある管理の不十分な空き家の調査を本格化させる。関係部局で作る調査チームを発足させ、1万戸以上あるとみられる空き家の中から防災や防犯、衛生、景観などの問題を洗い出し、対応策を検討する。(田阪綾子)
高松市、部局横断チーム
 賃貸や売却の予定がなく長期間居住者が不在の住宅は、総務省によると、県内では1998年は2万200戸だったが2008年には3万3100戸に増加。高松市はこのうち1万1590戸を占める。高齢化や過疎化が進み、所有者が亡くなったり、転居したりした後、放置されるケースが目立つという。
 市にはこれまでも住民から空き家に関する相談や苦情が寄せられていたが、防災上の問題は消防局、倒壊の危険性がある建物については建築指導課など各部局が個別に対応していため、問題の全体像がつかめないままだった。調査のために部局を横断したチームを結成。現地で現状を把握するとともに他の自治体の先例を研究するなどして、対策を検討する。空き家は放置すると、老朽化して倒壊する危険があるほか、シロアリの発生や景観を阻害するなどの問題が指摘されている。今年1〜2月には、さぬき市で空き家4戸などが連続放火される事件があり、放火や不審者による不法占拠など防犯上の問題も心配されている。
 しかし、倒壊のおそれがある空き家の撤去が進んでおらず、市政策課によると、所有者らが費用が捻出できなかったり、固定資産税を低く抑えるために家屋を残したりすることなどが考えられるという。個人の財産のため、行政が撤去するなどの介入は難しいが、多度津町は6月に空き家の適正管理に関する条約を制定し、撤去などの命令に従わない場合には行政代執行を行うことを定めている。一方で、空き家は手入れをすることで移住希望者に貸し出したり、地域活動の拠点として活用したりできる。市政策課は「空き家対策は、防犯から地域振興まで幅広い。調査を通して、どこに軸足を置いた対策が有効かを見極めたい」としている。

本記事では,高松市における空き家調査の取組体制を紹介.
本記事からは,「現地で現状を把握するとともに他の自治体の先例を研究」を行うため,「調査のために部局を横断したチーム」を設ける方針であることが分かる.同体制に関しては,現在のところ同市HP内では確認できず.
現状調査とその対策の検討のための体制から,いざ恒常的,専任的対策組織を整備する場合,空き家対策」は「どこにとっても積極的にはやりたくない事務であるため,どうしてもたらい回し的対応」*1になりやすいとも観察されている.また,「所掌部署を「一元化」した場合には,「防犯・防災,危機管理担当」が所掌する場合が比較的「多い」ようではあるものの,その他にも「建築担当」「都市計画,まちづくり担当」「民生担当」「環境担当」のいずれかでも所掌し,「自治体によって多様」*2な現状にもあるという.
調査段階と検討段階では,既存の分掌を超えて多くの部署が加わることで的確な現状把握と実効性に結びつく対策の構想が可能となる.しかし,加わる部署の範囲が拡がりすぎると,対策の実施段階での所掌もまた拡大することもある.その場合,既存の分掌を再編し,組織体制も整備する必要性も出てきそう.調査段階での「組織に横串を刺した」組織体制は,将来の対策組織を見据えるとその「横串」*3はどこまで延ばされてるのだろうか,公表後,要確認.

*1:北村喜宣「空き家対策の自治政策法務(2)」『自治研究』第88巻第8号,2012年8月,69頁

自治研究 2012年 09月号 [雑誌]

自治研究 2012年 09月号 [雑誌]

*2:前掲注1・北村喜宣2012年8月:69頁

*3:西条泰『ドキュメント副知事―猪瀬直樹の首都改造・一八〇〇日』(講談社,2012年)

ドキュメント副知事――猪瀬直樹の首都改造・一八〇〇日

ドキュメント副知事――猪瀬直樹の首都改造・一八〇〇日