ここ数年,余り記録してこなかった本備忘録のカテゴリーの一つに「本日の読書」があります.今年からは,毎週目に留まった,自治関連雑誌に掲載された記事・論説・エッセー,自治体や政府が公刊した答申・報告書,その他自治関連文献のなかから,下名が個人的に「なるほど」と思った箇所の記録を目的に,原則毎週末,「本日の読書」のカテゴリーを用いてみたいと思います.

  • 金井利之「分権政策と政局 ー「地域主権」から「地域守権」へー」『ガバナンス』No.141,2013年1月号,21〜23頁
  • 「"孤立死ゼロ”に向け,職員による「おとしより見守り隊」を発足 群馬県太田市」『ガバナンス』No.141,2013年1月号,87〜89頁

ガバナンス 2013年 01月号 [雑誌]

ガバナンス 2013年 01月号 [雑誌]

まずは,『ガバナンス』No.141,2013年1月号から,上記論説.国政の政局における自治体為政者のアクターとして役割を,「国・自治体間の対等性という意味からは意義があるかもしれない」との前提を置きつつ述べられた次の指摘は,なるほどと思いました.

自治体にとって制度改革や国の統治機構改革は,それ自体では,地域住民に対する政策展開にならないことへの留意が必要である.自治体の本務は,あくまで政策的な自治実践であり,制度提案・要求は政策的必要性に裏打ちされていなければならない」(23頁)

新しい政権のもとで国政運営を見通すなかで,意思決定に「自治配慮的に修正していく必要がある」と述べ,その方向性を示した次の箇所も,なるほどと思いました.

自治体に求められているのは,「地域主権」として暴走を自ら行うことではなく,集権的な振る舞いが予想される「国家主権」的な国政に対して,地域住民生活を守る「地域守権」を地道に実現することであろう」(23頁)

同じく,『ガバナンス』No.141,2013年1月号から,上記記事.2012年11月27日付の本備忘録でも記録した太田市の「おとしより見守り隊」の取組.実際に,職員の方々は,どのように各家庭を訪問されているのだろうと思っていましたが,同記事を読み,次の指摘に,なるほどと思いました.

構わないでもらいたいという高齢者もおり,職員が余り立ち入ったことに踏み込むとトラブルを招く恐れがある.その一方で,どんなことをしてもらえるのかという過度の期待を寄せられることもあり,距離の取り方には細心の配慮が必要.職員には,訪問は玄関までという一定のラインを示している」(88頁)