本日は,日本公共政策学会の年報から上記論説.
生活保護政策の実施構造における厚生労働省,首長と地方議員,ケースワーカー,民生委員というアクターによる保護率への影響を実証分析された本稿.保護率に影響を与える規定要因は,ケースワーカーが「SOPと専門性に依拠」(93頁)した裁量を行使ししことが説明されています.なるほど.予てより,日本の自治体におけるケースワーカーという職の行動を規定するものは何だろうと考えていましたが,本稿の仮設を導出に至る際での次の指摘から,なるほどと思いました.

通常,自治体では一般行政職が配属されることが多く,他の自治体職員と同様に責任回避的に行動すると考えられる(松尾2005).できるだけ制裁を回避するために,上司の選好を尊重して濫給を防止している.一般行政職のケースワーカーは専門職とは異なり,入庁前から特定の政策にコミットしていない.また,職務の実体を踏まえれば,ケースワーカーは便宜的にも行動していない」(54頁)