• 藤井さやか「拡大する都市の建築紛争と縮小する都市の建築紛争」『都市問題』Vol.104,2013年2月号,55〜63頁.

都市問題 2013年 02月号 [雑誌]

都市問題 2013年 02月号 [雑誌]

本日は,『都市問題』2013年2月号に掲載された同論攷.来年度の本務校で担当するグループワークによる演習でのテーマの勉強用として.
本論攷では,都市化,郊外化,逆都市化,再都市化という「都市サイクル仮説」に基づ建築紛争の実例やその発生要因をまずは整理されています.その後には,同仮説だけでは捉えきれない「拡大と縮小が複雑に入り混じ」(60頁)る日本の都市の現状を踏まえると,建築紛争もまた各時期で発生してきた建築紛争が,混在的に発生すると論じられています.そして,次の指摘にある解決の困難性には,なるほどと思いました.

都市圏全体が縮小する中で,局所的な成長が発生したり,人口当たりの施設需要が大きく変化したりと,様々な変化が同時に進行しているために,開発主体や影響を受ける主体の,都市化に対する認識(開発地の置かれている状況は拡大なのか縮小なのか)も一致せず,同じ開発に対する評価が大きく異なるために,両者の対立が激化してしまい,拡大期の建築紛争に比べて,解決が難しいケースも多いと思われる」(62頁)