東京都が事業主体の都市計画道路をめぐり、小平市議会の特別委員会は六日、計画見直しの是非を問う住民投票条例案を賛成多数で可決した。条例案の制定を求めた住民団体の原案を一部修正した。二十七日の本会議で成立する見通し。
 都の市町村課によると、都内で住民投票条例が成立すれば初めて。住民団体は「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」。地方自治法の定める署名数の二倍を超える七千百八十三人分を集め、二月に小林正則市長に条例制定を直接請求した。小林市長は今月一日、「住民投票は、都の広域的な道路整備事業に支障を来しかねない」との反対意見を付け、条例案を市議会に提出していた。
 市議会は六日の本会議で条例案を審議し、同会共同代表の水口和恵さん(50)らが「市民の意見を反映せずに、五十年前の計画を行政主導で進める都市計画道路の在り方は変えなければならない」と意見を述べた。この後、特別委を設置し、即日採決。自民系やみんなの党は反対したが、公明は退席し、民主系や共産、生活者ネットの賛成多数で可決した。住民投票が実施されても、事業主体は都のため、投票結果に法的拘束力はない。それでも水口さんらは「すごくうれしい。市民の意思を示したかった」と喜んだ。
 道路計画は、国分寺市東戸倉二丁目から小平市小川町一丁目まで約一・四キロに四車線を整備する「小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線」。一九六三年に都市計画決定された。都は今夏にも事業認可を取得する。

本記事では,小平市における直接請求の取組を紹介.
2007年4月1日から2009年3月31日までと,やや古いデータではあるが,総務省が実施した「条例の制定又は改廃の直接請求に関する調」によると,同期間中では50件が請求され,1件は「証明書の交付のみに終わ」り,3件は「署名簿が取り下げら」たものを除き,議会に提出された46件では,39件が否決,1件が一部修正,6件が可決とあり*1,「議会で可決した例は少ない」*2ことが観察できる.また,「請求事項内容」では,「住民投票に関するもの」が最も多く26件,「議員等の定数に関するもの」が4件,「学校設置等教育に関するもの」が1件,その他の19件はこれらの区分に属さないものとなっている*3
一方,同市議会では,直接請求により提出された条例案に対して,「東京都の小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について住民の意思を問う住民投票条例の制定」の審議を目的とした,13人の同市議会議員から構成される「住民投票条例特別委員会」*4を設置し,本記事によると,,同特別委員会では「原案を一部修正」のうえで「賛成多数で可決」,「27日の本会議で成立する見通し」であると報道.同市議会の会派を確認すると,特別委員会で「反対」した「自民系やみんなの党」がそれぞれ7名と2名,「退席」した「公明」が6名*5をあわせると計15名となり,「定数」「28人」*6過半数とはなる.退席が退席のままであればなるほど確かに「成立」となりそう.本会議の議決は.要確認.

*1:総務省HP(政策地方行財政地方自治制度地方自治月報 第55号)「条例の制定又は改廃の直接請求に関する調」1頁

*2:柴田直子「第3章 参加と統制」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)58頁

地方自治論入門

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*3:前掲注1・総務省(条例の制定又は改廃の直接請求に関する調)1頁

*4:小平市HP(小平市議会)「特別委員会(住民投票条例特別委員会)

*5:小平市HP(小平市議会)「会派名簿(1)」・「会派名簿(2)」」

*6:小平市HP(小平市議会)「「議員名簿(一覧) (平成24年2月2日現在) 」」