65歳から69歳は高齢者とは呼びません−。大和市は4月1日、「60歳代を高齢者と言わない都市宣言」を出す。就労するなどして元気に暮らす「高齢者」が増えているためという。法律や条例などの基準は変更しないが、市の広報誌や通知、案内などでは可能な限り「70歳以上」を高齢者と表記する。
 市の平均寿命は男性80・3歳、女性86・5歳と国の平均(男性79・55歳、女性86・30歳)を上回る。介護を受けずに自立生活ができる「健康寿命」も男女とも70歳を超えている。1956年の国連の定義に基づき、高齢者は「65歳以上」とされているが、当時に比べ、65歳を超えても働いたり地域で活動したりする高齢者は増えている。こうした現状を踏まえ、大木哲市長が「いつまでもはつらつと活躍してほしい」と発案した。4月1日にセレモニーを開き、市民にPRする。高齢者の基準が二つできることに対し、市政策総務課は「説明文を添えるなどし、市民に理解してもらい混乱のないようにしたい」と話している。

本記事では,大和市における宣言の取組を紹介.「65歳から69歳は高齢者」と呼ばない「60歳代を高齢者と言わない都市宣言」されるとのこと.
同市の住民基本台帳上の2014年2月28日現在での人口233,138名のうち,65歳から69歳の人口は15,103名*1,これに60歳から64歳までの14,193名を加えた,29,296名(12.56%)は高齢者と同市では呼ばれなくなる模様.
地域実情を踏まえて,「自主的法令解釈」*2(法令の解釈ではありませんが)による「高齢者」概念の再定義となる同取組.「地域で高齢者を支えていくということは,一見美しい仕組みだが,実際には大変なことで,人々の意識が大きく変わることなしには実現しない」*3と理解を踏まえると,再定義後の同市内での意識の変化が把握できると興味深そう.

*1:大和市HP(市政情報統計大和市の地区別、町丁別、年齢別人口(住民基本台帳人口))「地区・年齢別人口と世帯」128頁

*2:松本英昭「自治政策法務をサポートする自治法制のあり方」北村喜宣・山口道昭・出石稔・礒崎初仁『自治政策法務』(有斐閣,2011年)498頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

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*3:飯尾潤現代日本の政策体系: 政策の模倣から創造へ 』(筑摩書房,2013年)122頁