夏山シーズンを迎え、北アルプスをはじめ三千メートル級の山々を抱える長野県は、登山者らに力量に応じた山選びをしてもらおうと、登山ルートの難易度表「信州 山のグレーディング」をまとめた。踏破に必要な体力と登山技術をそれぞれ数値化し、県内百ルートを示している。県によると、自治体が詳細な統一基準で登山の難易度を付けるのは全国で初めて。 (小西数紀)
 長野県は、今年から七月第四日曜日(二十七日)を「信州山の日」と定め、多くの登山客に訪れてもらうため山の魅力の発信に力を入れる。難易度を公表することで、登山客に安全に登山を楽しんでもらう狙いがある。難易度は、縦軸に体力を、横軸に登山技術の習熟度を数値化したグラフで表示。体力は1〜10の十段階、登山技術はA−Eの五段階でそれぞれ評価し、グラフの右上に行けば行くほど難易度が高いルートと分かるようにした。例えば、上高地から槍ケ岳へ登るルートは、体力では「二〜三泊以上が適当」な「8」と評価し、登山技術は「はしご・くさり場を通過できる身体能力が必要」とされる中級者レベルの「C」に分類している。難易度は、各地の遭難対策協議会の会員らに聞き取って評価。必要な体力は鹿屋体育大の山本正嘉教授(運動生理学)の考案した計算式から算出した。長野県は今後、静岡と山梨、新潟の各県と共同で県境をまたぐ登山ルートの難易度を公表する。岐阜県など他の隣接県にも情報を提供している。難易度表は、大手登山情報サイト「ヤマレコ」内にある県山岳遭難防止対策協会のコーナーや県、県観光協会のホームページなどで閲覧できる。登山用品店にも情報提供する。

本記事では,長野県における登山ルートの難易度に関する情報提供の取組を紹介.同取組は,同県HPを参照*1
同取組では,「100」の「登山ルート」をその「固有の地形的な特徴に基づ」き「体力度と技術的な難易度で評価」し,「縦軸に1〜10段階の体力度」,「横軸にA〜Eの5段階の難易度」により「グレーディング」*2する.評価の結果からは,体力度が「9」であり「E」の難易度にある「周 大キレット上高地)<北穂→槍>」から,体力度が「1」,「A」の難易度とされる「湯ノ丸山地蔵峠)」「大渚山(湯峠)」「北横岳(ロープウェイ)」*3まで分散している.同情報は,「使用に当たっては」「自分の調べたい山」を同「一覧表」から「見つけ」「体力度と難易度」の「確認」*4を促す.
数値による「誘因型」*5の同取組.難易度の認知による選択した登山ルート内での「山岳遭難事故の防止」*6への配慮とともに当該登山ルート選択への抑制,または新たな登山ルート選択への挑みへと結びつくことがあるのだろうか.利用状況は,要確認.

*1:長野県HP(仕事・産業・観光観光関連情報)「信州 山のグレーディング

*2:前掲注1・長野県(信州 山のグレーディング)

*3:長野県HP(仕事・産業・観光観光関連情報信州 山のグレーディング)「信州 山のグレーディング 〜 登山ルート別 難易度評価 〜

*4:前掲注1・長野県(信州 山のグレーディング)

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),92頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*6:前掲注1・長野県(信州 山のグレーディング)