東日本大震災の被災自治体で、復旧・復興の業務を担う職員の不足が続いている。岩手、宮城、福島3県の50市町村では、足りない職員が2月1日時点で計277人に上る。その内訳は、事務職の割合が4割で、残り6割を土木職や建築職などが占める。景気が回復基調にあることで民間企業と人材を奪い合ったり、公共事業の増大に伴う全国的な人材不足が影響したりしているとみられる。
 50市町村で復興業務に必要な職員数は計2653人。このうち、他の自治体や民間企業からの応援で1827人、任期付き職員などの採用で549人を確保したが、依然として全体の1割が足らない状態だ。宮城県不足数が最も大きく、必要人数のうち219人が確保できていない。職種別の不足数は、一般事務職が106人。残りの171人は一定の資格が必要な技術系職員だ。港湾・河川復旧事業や災害公営住宅整備に必要な土木や建築職の他、避難生活が長引く被災者の健康ケアなどのため保健師が必要な自治体もある。資格が必要な専門職員の不足は、復興の足かせになっている。
 被災自治体では、膨大な業務が予定されており、専門的な知識や経験、ノウハウを持つ他の自治体の支援が不可欠だ。各市町村は、総務省を通じた全国の自治体からの応援や、姉妹自治体の縁なども頼って派遣を要請している。しかし派遣元も、職員の定数削減などで余裕がない自治体が多い。さらに、土木職や建築職については、このところの公共事業の増加が追い打ちとなっている。
 職員不足が深刻な自治体の一つである宮城県石巻市は、市長らが各地の市長会や町村会に支援継続を依頼したり、民間企業からの派遣の受け入れを行ったりしてきたが、「派遣元自治体で派遣をやめるというところも出ている」と話す。また、技術系職員の任期付き採用も、民間との競合などの影響で「思ったほど集まらない」と実情を打ち明ける。2015年度は政府の「集中復興期間」の最終年度に当たり、復旧・復興に向けた作業もピークを迎える。宮城県市町村課は「何とか支援を継続してもらえるようお願いしたい」と訴えている。

本記事では,岩手県宮城県福島県に位置する市町村おける復興業務を担当する職員体制の状況を紹介.
本記事は,2015年2月1日現在では,「復興業務に必要な職員数」が「2653人」のところ「他の自治体や民間企業からの応援」による「1827人」,「任期付き職員などの採用」による「549人」を除く「277人」分が不足していることを報道.不足する職員の職種としては,「一般事務職」が「106人」,「一定の資格が必要な技術系職員」が「171人」になる,という.人材不足対策としては,自治体間対策では,総務省等による「職員派遣」が2014年4月1日現在では「2,229人」,「被災地派遣前提の任期付職員の採用・派遣」は同日現在では「被災県」から「県内市町村」が「323人」,「被災地以外の自治体」から「被災地」は「163人」,自治体以外から自治体への支援では「任期付職員の採用」により「1,078人」が在職,「民間企業等に在職のまま任期付職員・非常勤特別職」として「54名」が採用,「復興支援員」は2014年度で「181人」,「国家公務員の非常勤職としての採用」は2014年12月1日現在で「204人」*1になる.「多くの自治体や職員からの支援」*2により進められてきている復興業務.今後の支援の継続状況は,要観察.

*1:復興庁HP(被災自治体支援)「被災地での人材不足対策」(平成26年12月1日 現在)

*2:塩沢健一「市職員へのサポート 復興過程における「補完性の原理」」東大社研, 中村尚史, 玄田有史編『〈持ち場〉の希望学 釜石と震災、もう一つの記憶』(東京大学出版会,2014年)201頁

〈持ち場〉の希望学: 釜石と震災、もう一つの記憶

〈持ち場〉の希望学: 釜石と震災、もう一つの記憶