京都市は30日午前、倒壊の恐れがあり所有者と連絡がつかない上京区の空き家を、建築基準法に基づく行政代執行で取り壊す作業に着手した。市は4月27日までに解体するよう公告していたが、所有者からの連絡はなく、市として初の行政代執行による空き家解体を決定した。
 建物は木造平屋建てで延べ床面積67平方メートルの住居兼工場。築年数は不明で、屋根が崩壊して柱も傾き、倒壊すれば周囲の住宅を損壊させる恐れがあった。この日午前10時、建物前で職員が代執行の実施を宣言し、建物入り口をフェンスで閉鎖した。実際の解体は連休明けに業者が行う。市役所内に代執行を統括する実施本部も設置した。建物の南隣に住む無職永井邦彦さん(73)は「ヤブ蚊やネズミなどが発生し、崩れそうで困っていた。解体してくれて助かる」と話していた。
 市は昨年4月に空き家の活用と適正管理のための条例を施行した。本来なら管理不全の空き家の解体は、所有者への「指導」「勧告」「命令」を経て「代執行による解体」となるが、今回は、不動産登記簿謄本の確認などで所有者を特定したものの連絡がつかなかった上、倒壊の危険性が極めて高いことから、即公告、代執行となった。今年3月までに市民からの通報などで市が把握した空き家は720件。このうち170件は倒壊の恐れや樹木が生い茂るなど「管理不全」として指導し、330件は所有者の確認作業中。残り220件は所有者が取り壊したり、割れた窓ガラスを修復したりするなどで問題解決している。

本記事では,京都市における空き家への代執行の取組を紹介.
同市の資料によると,代執行に至る経緯は次の通り.まずは,2007年に同市市民からの「通報」を同市が「受理」し,同市では「現地調査を実施」*1.現地調査の結果,同「建築物が管理不全状態であることを確認」,その後も,「定期的」な「現場巡視を継続」し,加えて「断続的」に同「建築物の所在地への通知書の送付」や「不動産登記簿謄本の確認」,同「建築物に係る抵当権者からの事情聴取など」を「実施した」ものの,「所有者の確知には至ら」*2ない状況が続いた.同市では,同「建築物」が「倒壊することにより,周辺住民に危害を及ぼすおそれが高いと判断」し,2015年「3月27日付けで建築基準法第10条第4 項において準用される同法9条第11項の規定」に基づき,「当該所在地内にある」「基礎を除く」「全ての建築物を除却すること」を行うべき「措置」として「公告」*3.そして,2015年4月27日に「是正措置が講じられないまま」「是正期限」*4が終了.
そこで,本記事が紹介するように,同市条例第17条「市長は,空き家の管理不全状態に起因して,人の生命,身体又は財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があると認めるときは,当該空き家の所有者等の負担 において,これを避けるために必要最小限の措置を自ら行い,又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる」*5規定の「実効性確保手法」*6として「建築基準法第10条第4項において準用される同法第9条第11項の規定に基づき」「代執行」*7が実施.本記事の後段では,同市内の「空き家」とその対応状況を紹介.今後の,対応結果は要確認.

*1:京都市HP(まちづくりまちづくり支援・調査・企画空き家対策管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について)「管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について」(平成27年4月28日 都市計画局)2頁

*2:前掲1・京都市(管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について)2頁

*3:前掲1・京都市(管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について)2頁

*4:前掲1・京都市(管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について)2頁

*5:京都市HP(まちづくりまちづくり支援・調査・企画空き家対策京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例について)「京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例

*6:礒崎初仁『自治政策法務講義』(第一法規,2012年)119頁

自治体政策法務講義

自治体政策法務講義

*7:前掲1・京都市(管理不全空き家(上京区五辻通七本松西入東柳町530番地)に対する代執行の実施について)2頁