鳥取県は、管理職を対象に、部下が育児などの家庭生活と仕事を両立できるよう職場環境を整えた度合いを「イクボス度」として査定し、昇給やボーナスに反映させる方針を決めた。詳細は検討中だが、総務省は「聞いたことがない取り組み」としている。人口が約57万人で都道府県で最少の同県は3日、県内の経済、労働団体と「イクボスとっとり共同宣言」を出し、子育て支援を率先する姿勢をアピールする。
 イクボスとは、部下が育児や介護などをしやすいように配慮する経営者や上司のことを指す。厚生労働省所管の独立行政法人労働政策研究・研修機構」によると、民間企業でもイクボス度を査定している事例は聞いたことがないという。県が検討する査定は、課長級以上が対象になる見通し。県人事企画課は「部下の育休や年休の取得率などを重視するだけでなく、部下に家庭生活と仕事を両立させつつ、持ち場全体で成果を上げるような調整力が主な対象になる」といい、早ければ今年12月支給のボーナスから導入する。
 共同宣言は県警や経営者協会、商工会議所、労働組合などに呼びかけ、全県的にワーク・ライフ・バランスを重視する職場環境整備を促す狙いだ。平井伸治知事は「県内では育児を応援するスローガンはあっても体制が追いついていない。県庁が率先して始め、育児しやすい環境を全国に先駆けて整えたい」と話している。【真下信幸】

本記事では,鳥取県における「イクボス」の取組を紹介.
2015年5月14日付の本備忘録では,北九州市におけるイクボス宣言とその実践度を賞与査定へ反映する取組を記録.本記事では,鳥取県では,「動機付けがやはり一定程度必要」との考えから,「イクボス度」「イクボス実現度」を「成果主義的」に「成績を評価」を行い,「ボーナス」や「昇給の判断の材料」*1とする方針を紹介.「無限定な働き方や長時間労働の慣習を是正する」*2には,給与と賞与への「外発的な工夫」*3による同取組.実際の取得率は,要確認.

*1:鳥取県HP(知事のページ鳥取県知事記者会見録平成27年度知事記者会見録)「知事定例記者会見(2015年5月27日)

*2:筒井淳也『仕事と家族』(中央公論新社,2015年)146頁

*3:田尾雅夫『公共マネジメント -組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)』(有斐閣,2015年)58頁

公共マネジメント--組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)

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