群馬県桐生市出身の女優、篠原涼子さん(41)を起用した桐生市の観光ポスターが話題を集めている。名所旧跡の写真やキャッチフレーズをてんこ盛りにした「ありがち」な観光ポスターとは一線を画し、ファッション広告のようなシンプルなデザインが売り。ノーギャラでモデルを買って出た篠原さんの地元愛を背に、市はPRに燃えている。【尾崎修二】
 黒いドレス姿で前を見据える篠原さん。訴えかけるような表情の下に大きく「KIRYU」。まるでファッション誌の表紙のようなデザインのポスターは、最下部には桐生織の柄をあしらい、カラー版と白黒版の2種類を用意した。「ひもかわうどん」「のこぎり屋根」といった地元の観光情報を盛り込むデザインも検討されたが、思い切ってそぎ落とした。市観光交流課は「見る人にインパクトを与え、桐生に興味を持ってもらうきっかけになれば」と狙いを説明する。
 16歳まで桐生で過ごした篠原さんは、2013年に市の観光大使に就任。屋台の食べ歩きや川で遊んだ思い出を披露し、「桐生は人が温かく、私も助けられた。自然豊かで食べ物もおいしい。そんな桐生をPRしたい」と語っていた。以降、市のパンフレットに登場したり、成人式で新成人に祝福メッセージを贈ったりしていた。俳優の市村正親さん(66)と結婚し、2児の母となった今も里帰りを続けているという。
 ポスターの写真は東京都内で3月、人気カメラマンの渡辺達生さんが撮影した。市の支払いは最低限の必要経費のみ。篠原さんはノーギャラだったが、「光栄です」と快諾したという。
 ポスターは4月末から、市内の公共施設や観光施設、周辺の飲食店、東京・銀座にある群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家(ち)」に掲示。市役所には問い合わせが殺到し、盗難も起きている。予想を上回る反響に、市は今月中にも全国からポスター掲示希望者を募り、200枚程度を配布する方針。「全国にポスターが張られることで一人でも多くの人に桐生に足を運んでもらいたい」と期待をふくらませている。問い合わせは桐生市観光交流課(0277・46・1111)へ。

本記事では,桐生市における観光イメージアップの取組を紹介.
本記事で紹介されているポスターは,「ポスターを見た方にインパクトを与え」「何のポスターだろう」という「興味を持ってもら」*1うことを目的に撮影された同ポスター.本記事によると,「市の支払いは最低限の必要経費のみ」となり,掲出後には「市役所には問い合わせが殺到」,「盗難も起きている」模様.
「行政広報の方向性が行政域内から,行政域外へと重点が変化しつつある」*2なかで,「インパクトを与え」「反響」もあったことが窺えそう.さらなる同市への効果も,要観察.

*1:桐生市HP( お知らせ・募集)「観光イメージアップポスター(桐生市観光大使篠原涼子さん)

*2:伊吹勇亮, 川北眞紀子, 北見幸一, 関谷直也, 薗部靖史『広報・PR論-パブリック・リレーションズの理論と実際』(有斐閣,2014年)267頁

広報・PR論--パブリック・リレーションズの理論と実際 (有斐閣ブックス)

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