二十三区に残る区役所庁舎では最古級で、文化財としての価値が指摘されている世田谷区役所第一本庁舎(一九六〇年完成)と隣接する区民会館(五九年完成)などの再整備方針を話し合っていた区民と有識者でつくる基本構想検討委員会が二十三日、議論の最終報告書をまとめた。建物を改修して保存するか、建て替えるかについての結論は保留した上で、どちらを選択するにしても「現庁舎の特質を継承する」と明記した。区は、これをもとに十二月までに基本構想案をまとめる。
 世田谷区役所と区民会館は、戦後の日本建築界を代表する前川国男の設計。開放的な中庭を囲んで立つコンクリート打ち放しの外観が特徴。完成から半世紀がたち、老朽化と区役所の業務増大への対応が課題となっている。
 報告書では、多くの自治体の庁舎が被災した熊本地震を受け、大災害に備えた防災拠点としての機能の必要性を挙げ「求められる機能や規模の確保と最も合理的な事業計画が可能であれば、現庁舎等の活用も考慮した計画とする」とした。
 区は報告書をたたき台にして八月から基本構想の素案づくりに着手する。保坂展人区長は「報告書は、区民らが前川の建築をどう生かしていくのかを限定していない。さまざまな角度から提案を受ける形になっていくと思う」と話した。
 検討委は、建築や環境などの有識者七人と、区民十三人で構成。区民は、公募で選ばれた五人に加え、区が無作為抽出した八人が参加した。四月に初会合を開き、計六回にわたって議論を重ねてきた。 (神野光伸)

本記事では,世田谷区における本庁舎整備に関する検討結果を紹介.
2016年5月11日付の本備忘録では,庁舎整備に関する複数案を
全部ニュートラルにして,検討会を区民参加で始めた」*1ことを記録.本記事でも紹介されている「世田谷区本庁舎等整備基本構想検討委員会」,*2は2016年6月までに5回開催されており,本記事によると同年7月23日に第6回目が開催され,当初の予定通り「報告書(最終版)」*3が取りまとめ,現行の庁舎の「建物を改修して保存するか,建て替えるかについての結論は保留」との考えが示された模様.現存する「モダニズム*4に関して,今後策定が予定される基本構想への規定内容は,要観察.