中部地方最大の歓楽街「錦三」(名古屋市中区)などで、客に法外な高額請求をする「ぼったくり」被害が多発していることを受け、愛知県は、ぼったくり防止条例の制定を決めた。近く条例案を公表し、パブリックコメント意見公募手続き)を通じて、広く県民の声を集める。
 ぼったくり防止条例は、東京、大阪など7都道府県が施行している。
 関係者によると、愛知県の条例案では、飲食店に対し、「料金が実際より著しく安い」と思わせるような勧誘、乱暴な言動による取り立てを禁じ、客引き自体も規制する。客が払うべき料金を分かりやすく表示する義務を店側に負わせ、罰則や営業停止など行政処分も定める。
 店側だけでなく、店が入るビルの所有者らにも、賃貸契約時に条例の順守を約束させるなど、一定の義務を負わせる。
 愛知県内でぼったくり被害は問題化しているが、ぼったくり自体を取り締まる法令はなく、県警は、風営法や県迷惑行為防止条例で対応している実態がある。6月の県議会定例会で、条例制定を求める増田裕二議員(自民)の質問に、桝田好一県警本部長は前向きな考えを示していた。

本記事では,愛知県における「ぼったくり条例案」のパブリックコメントの実施について紹介.
「県の全域」の「キャバクラ,ガールズバー,酒場その他名称のいかんを問わず」「営業所を設けて客に酒類を提供し」「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす営業が対象」*1となる同条例案
具体的には,「全ての者を対象」に「不当な勧誘」「不当な料金の取立」を「禁止行為」*2とし,「規制対象営業の事業者を対象」には「不当な客引き行為等の禁止」,「料金等の表示」,「勧誘等の委託に伴う指導義務」*3を規定する.また,「場所提供者(ビルオーナー等)」には,「提供に係る契約の締結に際して」「相手方に当該建物」を同「条例又は風営適正化法に違反する営業の用に供しない旨の約束」,「提供に係る契約」では「当該建物」が同「条例又は風営適正化法に違反する営業の用に供された場合」「当該契約を解除することができる旨を定め」ること,そして,「提供している建物」が同「条例又は風営適正化法に違反する営業の用に供されていないか」「確認」*4することを規定する.
「立法と執行の過程には制約がある」*5なかで,同条例の制定後の実施状況は,要観察.

*1:愛知県HP(組織でさがす広報広聴課県民意見提出制度(パブリック・コメント制度)いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)に対する意見の募集(パブリック・コメント))「いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)の概要

*2:前掲注1・愛知県(いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)の概要)1頁

*3:前掲注1・愛知県(いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)の概要)2頁

*4:前掲注1・愛知県(いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)の概要)2〜3頁

*5:武岡暢『歌舞伎町はなぜ<ぼったくり>がなくならないのか』(イースト・プレス,2016年)178頁