東京都の小池百合子知事が関係団体から来年度予算に関する要望を公開の場で聞く「知事ヒアリング」が十二日、都庁で始まった。二百億円の政党復活予算の廃止など、小池知事が目指す予算編成過程の透明化に向けた新しい取り組みの一環。同日は教育やボランティアといった分野の八団体から意見聴取した。
 ヒアリングは二十日にかけ、計六日間行う。対象は、都から受けている補助金などの額が一億円以上の団体から、東京私立中学高等学校協会や医師会、商工会連合会、築地市場協会など五十七団体に絞った。
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 小池知事は団体ヒアリングの冒頭、「都民の資産をどのように効果的に生かすか」という観点から二〇一七年度の予算編成に取り組む考えを説明した。
 この日は都庁で副知事や局長ら五人とともに、八団体と十五分ずつ順に面談した。都議会側に「十五分間では短すぎる」との批判もあることを意識し、小池知事は九日の定例記者会見で「一時間聞いたからどうなのかという話にもなる。逆に短い時間で、(団体側が)一番のエッセンスをお持ちになるということだ」とけん制していた。
 最初にヒアリングを受けた東京私立中学高等学校協会は、公立校に比べて私立校は支援が少ない格差があるとして、経常費補助の拡充などを要望した。小池知事は「教育は未来への投資。理念には強く共感する」と理解を示す一方、「補助金を出すのみでは解決にはならない。経営努力に取り組むことで予算が生きる」と自助努力も促した。
 このほか、鍍金(めっき)工業組合は「環境規制に対応するための設備更新が不可欠。零細企業が対応できるように助成してほしい」などと求めた。ヒアリングは二十日までの計六日間で、その様子はインターネット中継して公開する。
 小池知事は二百億円分の政党復活予算に関して、「東京だけが『白地小切手』で使えるような予算を持っていたのは驚く状況。しかし、都民の税金なので誰それのものではない」と強調。復活予算を廃止し、自らが団体側の意見を聴く方式に改めた。

本記事では,東京都における予算編成の取組を紹介.
2016年11月29日付の本備忘録にて記録した,同都の2017年度予算編成における「知事ヒアリング」*1の取組.「要望」を「受ける」「各種団体」は.「団体に関連した補助金又は委託料等の予算」が「1億円以上計上している団体」を「基本」として,「広く都民の生活向上に関わる事業を行う団体」,「関連業界の上部機関又はその連合組織として業界の意見を代表する団体」,「会員の相互連携により,その専門性を活かして幅広く都政に寄与していただいている団体」の「3つの視点に基づき」,同都の「各局からの推薦により選定」*2されている.2016年12月12日は8団体*3,同年同月13日も8団体*4,同年同月14日は午前が8団体*5,午後が11団体*6,同年同月19日は午前が8団体*7,午後は4団体*8,同年同月20日は午後のみ4団体*9を予定している.これらに加えて,同年同月16日の夕刻からは特別区長会,東京都市長会,東京都町村会への「ヒアリング実施」*10も実施する.
ヒアリングを通じた「業界の利益」*11への予算編成における対応結果は,要経過観察.

*1:東京都HP(都政情報都政組織情報東京都の組織・各局のページ財政局財政情報予算平成29年予算)「各種団体及び特別区長会、東京都市長会、東京都町村会からの東京都予算に対する知事ヒアリングの実施について」(平成28年12月9日,財務局)

*2:前掲注1・東京都(各種団体及び特別区長会、東京都市長会、東京都町村会からの東京都予算に対する知事ヒアリングの実施について)

*3:具体的な団体名は,次の通り.東京私立中学高等学校協会,東京都私立幼稚園連合会,東京都専修学校各種学校協会,消費者機構日本,東京都公衆浴場業生活衛生同業組合,東京ボランティア・市民活動センター,東京都町会連合会,東京都鍍金工業組合

*4:具体的な団体名は,次の通り.東京都知的障害者育成会(東京都手をつなぐ親の会),東京都医師会,東京都歯科医師会,東京都薬剤師会,東京都看護協会,東京都遺族連合会,国民健康保険組合東京協議会,東京都生活協同組合連合会

*5:具体的な団体名は,次の通り.日本こども育成協議会・東京都認証保育所協会,東京都民間保育園協会,東京都社会福祉協議会(保育部会),東京都社会福祉協議会(身体障害者福祉部会・知的発達障 害部会・障害児福祉部会・東京都精神保健福祉連絡会),東京都社会福祉協議会(児童部会・乳児部会),東京都社会福祉協議会(東京都高齢者福祉施設協議会),東京都生活衛生同業組合連合会,東京都獣医師会

*6:具体的な団体名は,次の通り.東京都社会保険労務士会,東京都食品産業協議会,東京経営者協会,東京都ホテル旅館生活衛生同業組合日本旅館協会 東京都支部,東京都石油商業組合,東京都森林組合連合会,東京都商工会連合会,東京都中小企業団体中央会,東京都商店街振興組合連合会,東京工業団体連合会,東京都中小企業診断士協会

*7:具体的な団体名は,次の通り.東京都トラック協会,東京都造園緑化業協会,東京都宅地建物取引業協会,全日本不動産協会東京都本部,東京都個人タクシー協会,東京ハイヤー・タクシー協会,東京都産業廃棄物協会,東京私立初等学校協会

*8:具体的な団体名は,次の通り.築地市場協会,東京都管工事工業協同組合, 三多摩管工事協同組合,東京都漁業協同組合連合会

*9:具体的な団体名は,次の通り.東京都身体障害者団体連合会,東京都食品衛生協会,東京都老人クラブ連合会,東京バス協会

*10:前掲注1・東京都(各種団体及び特別区長会、東京都市長会、東京都町村会からの東京都予算に対する知事ヒアリングの実施について)

*11:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)97頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

ホーンブック 地方自治[第3版]