神奈川県が二〇一〇年度に導入した全国初の受動喫煙防止条例の罰則が、年間千件前後の違反が確認されながら七年間で一度も適用されたケースがないことが分かった。複数の県関係者が明らかにした。受動喫煙問題に取り組む専門家からは「健康被害を防ぐには、条例の積極的な活用が必要だ」との声が上がっている。
 条例では、学校や病院などを禁煙とし、一定の規模を超える飲食店や宿泊施設は禁煙か分煙を選択するよう定めている。違反した施設管理者には五万円以下の過料が科せられることもある。健康被害を防ぐ先進的な取り組みとして評価する声がある一方、分煙設備にコストがかかり、禁煙化に伴う客離れの恐れがあるとして、飲食店などの経営悪化の懸念が指摘されてきた。
 県関係者によると、県内では年間千件前後の違反が確認された。だが県は「飲食店などの営業の妨げになる恐れがある」として、一六年度分も罰則の適用を見送る方針だ。条例は罰則を科す前に立ち入り調査や指導、命令などの措置を取るよう定めているが、こうした措置を取ったケースも今まで一度もなかった。
 県関係者は「罰則はあるが、条例への理解が広まれば、自発的に守ってくれることを想定していた」と説明する。
 条例が規制対象とする大規模な飲食店や施設での違反件数は施行直後には二千件を超えたが、条例が周知されるに従って一時減少した。だが、その後は一三年度末千百五十六件、一四年度末九百五十四件、一五年度末九百六十一件と横ばい状態が続く。
 日本禁煙学会の作田学理事長は「このままでは飲食店などが条例を守らなくても良いと誤解する可能性がある。罰則を含め、条例を適正に運用するべきだ」と指摘している。
<神奈川県の受動喫煙防止条例> 健康被害防止のため、違反者への罰則を定めた全国初の条例。学校や病院に禁煙、飲食店や宿泊施設に禁煙か分煙を義務付けている。調理場を除く床面積100平方メートル以下の飲食店、床面積700平方メートル以下の宿泊施設は規制対象外とした。施設管理者に5万円以下、喫煙者に2万円以下の過料を科すことができる。政府は2020年東京五輪パラリンピックに向けた受動喫煙対策として健康増進法の改正を検討。先行事例として注目されている。

本記事では,神奈川県における「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」*1の実施状況を紹介.本記事では,同条例施行後の「違反」の「確認」状況と,他方で「罰則適用されていない」*2ことを紹介.違反の確認に対する目的実現のための「解決」*3状況は,要確認.