京都市は5日、市内の優れた眺望や借景を保全するため、建築を規制する際の基準地点として38カ所設けている「視点場」を11カ所追加し、計49カ所に増やす方針を明らかにした。現在は世界遺産が中心となっているが、近年、歴史的資産の寺社境内や周辺でマンションなどの開発が相次いでおり、宗派本山の寺などにも拡大する。
 視点場の指定は、市が新景観政策の一環として、2007年施行の眺望景観創生条例に盛り込んだ。追加は、来年2月市議会に条例改正案を提出、10月に施行する予定。追加は制度創設以降で初めて。
 視点場は産寧坂など「通りの眺め」、京都三山の「山並みへの眺め」、五山の送り火の「しるしへの眺め」など8類型ある。今回追加するのは、寺社などの「境内の眺め」が大徳寺平安神宮など10カ所、「しるしへの眺め」が「八坂通からの八坂の塔」の1カ所。
 視点場に指定されると、そこからの眺望や借景を妨げないよう、周囲で建築物の新築や建て替え時に、高さ、屋根などのデザインの形態や色彩を制限される。追加地点の周囲では、都市計画により既に高さが一定制限されており、条例改正に伴いデザインのみ新たに規制されることになる。
 歴史的景観を巡っては近年、仁和寺門前でガソリンスタンド・コンビニ計画が一時浮上したほか、梨木神社や下鴨神社など、運営資金の確保に向けて境内でマンションを建設するケースが相次いだ。今年9月に施行10年を迎える新景観政策だけでは、長年受け継いできた景観を保てない状況が現れてきている。
 そのため市は、14年度からの有識者委員会の議論を踏まえ、対応策を検討した。視点場は増加に加え、「境内の眺め」の類型に「参道や門前の眺め」も含むように変更し、周囲にも規制が及ぶようにした。
 5日の定例記者会見で、門川大作市長は「京都の優れた景観を次の世代に引き継げるよう、取り組みを進めたい」と語った。

本記事では,京都市における景観政策に関する取組を紹介.
2017年7月5日に開催された同市長記者会で公表された「歴史的景観の保全に関する具体的施策」*1.同市の景観政策で38カ所に定めた「視点場」*2を,本記事によると「11カ所」追加することになった模様.「政策対象領域」*3の拡張となる同取組.同施策の具体的な内容は,公表後,要確認.