高齢化がピークを迎える2040年ごろの自治体行政の在り方を検討している総務省の研究会は26日、課題を整理した中間報告をまとめた。東京圏で急速に進む高齢化や地方の人口減少といった危機に対処するため、住民の生活圏ごとに複数の自治体が連携したり、都道府県と市町村の役割分担を柔軟に見直したりして行政サービスを維持する必要があると提言した。
 6月をめどに、具体的な対応策を盛り込んだ最終報告をまとめる。
 中間報告では40年ごろにかけ、東京など1都3県で介護や医療需要が拡大し、若者を中心に地方からの人口流入が増えると予測。地方の経済や行政サービスを支えきれなくなるとした。全国的に空き家や所有者不明土地が増えて人口密度が低下することや、地方大学が減って教育機会の確保が難しくなることも課題に挙げた。

本記事では、総務省における自治体行政のあり方の検討状況を紹介。
同省に設置された「自治体戦略2040構想研究会」*1では、2017年10月2日の第1回研究会から2018年3月29日の10回まで開催。2018年4月26日に『自治体戦略2040構想研究会 第一次報告 ~人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか~』*2を公表。
同報告では、「人口増加モデルの総決算を行い」「人口減少時代に合った 新しい社会経済モデルを検討する必要がある」との認識から、「取り組むべき対応策をバックキャスティングに検討」*3し、子育て・教育、医療・介護、インフラ・公共施設、公共交通、空間管理、治安・防災、労働・産業・テクノロジー(ICT、ロボット、生命科学等)の「行政分野」の「課題をできるだけ網羅的」*4に取りまとめている。
これらをもとに、「 2040 年頃」に「迫り来る」、「内政上の危機とその対応」を、「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」「標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全」「スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ」の「3つの柱に集約」*5。そして、これらの「課題や論点」は「行政の制度設計の根幹に当たる部分を含めた見直しを迫るもの」として「新たな自治体と各府省の施策(アプリケ ーション)の機能が最大限発揮できるようにするための自治体行政(OS)の書き換え」が必要であるとの考え方を提示し、「自治体は、単なる「サービス・プロバイダー」から、公・共・私が協力し 合う場を設定する「プラットフォーム・ビルダー」への転換」*6を促している。
同考え方を踏まえながら、各自治体における「地域における行政サービスの提供体制」の「抜本的に見直す」*7ための議論は、要確認。

*1:総務省HP( 組織案内研究会等)「自治体戦略2040構想研究会

*2:総務省HP( 組織案内研究会等:「自治体戦略2040構想研究会)『自治体戦略2040構想研究会 第一次報告 ~人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか~』(自治体戦略2040構想研究会、平成30年4月)

*3:前掲注2・総務省(自体戦略2040構想研究会 第一次報告 )3頁

*4:前掲注2・総務省(自体戦略2040構想研究会 第一次報告 )4頁

*5:前掲注2・総務省(自体戦略2040構想研究会 第一次報告 )41頁

*6:前掲注2・総務省(自体戦略2040構想研究会 第一次報告 )49頁

*7:森田朗『新版 現代の行政』(第一法規、2017年)200頁

新版 現代の行政

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