港区は、地区を指定して駐車施設の集約化を推進する独自の駐車場条例を定める。車の二酸化炭素(CO2)排出量削減や、街のにぎわいにつながる。地区全体で低炭素化に取り組むのは全国初という。来年四月の条例施行を目指す。 (山田祐一郎)
 現在の都駐車場条例では、建物の床面積によって駐車場を設置する義務があり、一定規模の施設にはそれぞれ駐車場がある。
 今回、駐車機能を集約する地区を設定し、設置義務を集約して緩和。過多気味の駐車台数の適正化を図る。対象となるのは、虎ノ門や新橋周辺の「環状2号線周辺地区」と「品川駅北周辺地区」の二地区。今月から意見募集を始めた。
 集約化により、駐車場を探して移動するといった非効率な運転が減少し、CO2排出量の低減が期待できるという。港区内では二〇一五年度、二十三区で最多の三百九十六万六千トンのCO2が排出された。区は、二地区で年間約五百トンのCO2削減を試算する。「六本木交差点周辺地区」と「浜松町駅周辺地区」も、今後、集約化を検討する地区に位置付ける。
 国土交通省も、人々が歩いて移動することで、街のにぎわいが増すというメリットもあるとみて、地域の特性に応じた駐車場配置の適正化を促している。
 港区は条例に先立ち、現在ある「区低炭素まちづくり計画」を改定する。新たな計画には、地区の事業者や町内会などで組織する協議会が決めた、駐車場の台数、設置位置など「地域ルール」の内容を明記する。条例施行後、区がレンタルサイクルの貸出場所を増設したり、電気自動車(EV)バスを導入するなどして協議会の取り組みを支援する。

本記事では,港区における低炭素化の取組方針案を紹介。
同区では,「二酸化炭素排出量」が,同区が位置する「都の中で最も多く」「今後も大規模開発等」を通じて,「事務所ビルの延床面積が増加し続ける」との「予想」をもとに,「港区低炭素まちづくり計画」を「策定」*1。同計画の「施策の一つである」「駐車機能集約化」を「推進する」目的から,同計画の「改定素案」と「駐車場地域ルール」の「素案」を策定し,2018年「11月1日」から「11月30日」の期間で「パブリックコメント*2を実施。
各「駐車機能集約区域」の「検討」は「周辺の土地利用,交通,駐車施設に関する地域の状況を十分把握し」たうえで「駐車機能集約化による影響や効果を分析し」,「周辺住民,関係行政機関との調整も行い」*3,「集約駐車施設の位置」は「駐車施設を附置する建築物」の「利用者の利便性も含めて,距離,その間の交通手段の利用環境等を考慮して検討」し,「大まかな位置を決めた後」,「地域地区レベル,街区レベルと段階的に位置の検討」*4する方針が示されている。同取組を通じた,低炭素化へと「自発的に動いてもらう」*5成果は,要観察。

*1:港区HP(区政情報広聴パブリックコメント(施策・計画に対するご意見))「港区低炭素まちづくり計画(改定素案)及び駐車場地域ルール(素案)についてのご意見募集

*2:前掲注1・港区(港区低炭素まちづくり計画(改定素案)及び駐車場地域ルール(素案)についてのご意見募集)

*3:港区HP(区政情報広聴パブリックコメント(施策・計画に対するご意見)港区低炭素まちづくり計画(改定素案)及び駐車場地域ルール(素案)についてのご意見募集)「港区低炭素まちづくり計画(改定素案) 駐車機能集約編」12頁

*4:前掲注3・港区(港区低炭素まちづくり計画(改定素案) 駐車機能集約編)14頁

*5:北村喜宣『環境法』(有斐閣,2015年)77頁

環境法 (有斐閣ストゥディア)

環境法 (有斐閣ストゥディア)