東京都議会は24日の臨時本会議で、徳洲会グループから5千万円を受け取っていた猪瀬直樹知事(67)の辞職に全会一致で同意した。同日付の辞職が正式に決まり、「猪瀬都政」はわずか1年で終幕となった。
 猪瀬氏の知事在職日数は372日で都政史上最短。これまでの最短は1995年に就任、1期4年で退いた故青島幸男氏の1461日だった。都議会議長は24日、猪瀬氏から辞職申し出があったことを都選挙管理委員会に通知。公選法では通知から50日以内に知事選実施となっており、来年1月23日告示―2月9日投開票が有力。

本記事では,東京都知事の退職を紹介.2013年12月24日に開催された東京都議会第2回臨時会にて「全会一致で同意議決」*1.法定の期日前」*2となる同日で退職.
戦後初代の都知事職に就いた安井誠一郎元知事は,「都知事」を「荒砥」に例え,「荒砥にかけられたら,誰だって附焼刃なんかこそぎ落とされ,生地まる出しにならざるを得ない」「おそるべき職務」*3と述べる.その安井が敷いた「軌道からはずれないように参る」*4ことに腐心したと述べる東龍太郎元知事や,それまでの軌道とは異なり,知事就任前の「学者ではとうていできないことが知事という地位に基づいて実現できる」*5職と美濃部亮吉元知事は振り返る.
そんな,おそるべき職務である都知事職に「子どもの頃になりたかった職につくことのできた私は,存外な幸せ者だったのだろう」*6と振り返る鈴木俊一元知事がいる一方,職務の多忙さに「つらかったね」*7と率直に振り返った青島幸男元知事もいる.そして,「財政再建にしろ何にしろ,東京は国よりも二歩も三歩も先を行っている」*8と東京都と国との位相の相違を進める石原慎太郎元知事と,元知事たちは知事職をさまざまに振り返るなかで,猪瀬直樹都知事は「ファクトとロジック」*9で同職をどのように語られるのだろうか.ぜひ読みたい.

*1:東京都HP(東京都議会)「平成25年第2回臨時会の概要

*2:松本英昭『新版 逐条地方自治法第7次改訂版』(学陽書房,2013年)506頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*3:安井誠一郎『東京私記』(都政人協会,1960年)12頁

東京私記 (1961年)

東京私記 (1961年)

*4:東龍太郎『独善独語』(金郷出版,1978年)105頁

独善独語 (1978年)

独善独語 (1978年)

*5:美濃部亮吉都知事12年』(朝日新聞社,1976年)196頁

*6:鈴木俊一著・立田清士編『鈴木俊一著作集第7巻〔皇室・巻頭言・随想・雑さん〕』(良書普及会,2001年)388頁[rakuten:yamabosisyoten:10063672:detail]

*7:青島幸男『ちょっとまった!青島だァ』(岩波書店,2006年)

ちょっとまった!青島だァ (双書 時代のカルテ)

ちょっとまった!青島だァ (双書 時代のカルテ)

*8:石原慎太郎『もう,税金の無駄遣いは許さない!』(WAC,2006年)4頁

もう、税金の無駄遣いは許さない!―都庁が始めた「会計革命」

もう、税金の無駄遣いは許さない!―都庁が始めた「会計革命」

*9:猪瀬直樹『勝ち抜く力』(PHP出版,2013年)128頁