地方財政審議会総務相の諮問機関、堀場勇夫会長)は12日、2018年度予算に向けて地方財政の意見書を野田聖子総務相に提出した。自治体の基金が増える背景には将来不安があると指摘。基金は公共施設の老朽化対策などが多く「必要な事業を適切に実施できる環境を整備することが必要だ」として地方交付税の法定率引き上げなど地方財源の拡充を求めた。
 基金の増加幅は地方交付税を受け取っていない東京都などの不交付団体で大きいとも分析。「税源の偏在性の縮小に取り組むことが重要だ」と強調した。

本記事では、総務省における地方財政審議会からの意見の提出を紹介。
本記事で紹介されている2017年11月8日付の本備忘録で記録した、自治体における基金の積立状況。同年12月12日に同審議会から同相に提出された『今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見』では「財源は、行政改革や経費削減等により捻出されて」おり、「基金設置に係る条例の制定」や「毎年度の議会における予算・決算の審議を経る」ことで「各地方自治体において説明責任が果たされた上で、それぞれの判断で行われるものである」として「基金残高の増減の状況は地方自治体によって様々であ」ることを踏まえて「各地方自治体の自主的な判断に基づく健全な財政運営の結果として、 尊重されるべきである」*1との意見を示されている。これにより「毎年度、国が赤字国債の発行等によって地方交付税を措置している現状を踏まえ、地方財政計画への反映につなげていくべきとの議論」に対しては、「そもそも地方が標準的な行政サービスを行うための財源を保障す ることが地方交付税法上の国の責務」であことから、「国の責務として対応している地方交付税の特例加算を地方の基金残高と関連付けて議論することは」「地方の理解を得ることはできず、不適当」*2として「地方全体として基金の残高が増加していることを もって地方財政に余裕があるかのような議論や地方の財源を削減 るような議論は不適当」*3との意見を述べる。
自治体の財政運営の自立」と「国の財政との関係」*4をめぐる審議状況は、要観察。

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2017年12月今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見)「今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見」7頁

*2:前掲注1・総務省(今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見)7頁

*3:前掲注1・総務省(今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見)8頁

*4:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣、2017年)78頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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