徳島県は、今年4月に県庁に入った新規採用職員から、最初の配属先での在職期間を従来の3年から2年に短縮する。全体の職員数が減ってきている中、業務を効率的に回すために若年層の人材育成を強化して即戦力化を図る。庁内からは「仕事の基礎を学ぶ期間を短縮して育成できるのか」との声も上がっているが、人事課は「若い時により多くの職場を経験させ、幅広い知識と視野を持ったベテランに早く育てるのが狙い」としている。
 県は財政上の制約から一般行政部門の職員数を3千人に近づけるよう計画的に減らしており、結果として若年層が極端に薄くなっている=グラフ参照。民間企業の多くが人手不足を背景に若年層の人材育成を加速させているが、組織のスリム化を進める官庁でも若手人材の即戦力化が待ったなしの状況になってきた。
 県人事課によると、新たな異動サイクルが適用される今春採用の新採職員は、大卒・高卒を含めて123人。原則として事務職・技術職ともに2017年度と18年度は現在の職場で仕事をし、19年度の定期異動で次の部署に移る。次の部署でも配属期間を原則2年とし、入庁から4年で2部署をこなす。
 最初の配属先で原則3年間の在職期間が与えられていた従来は、1年目で新しい仕事に慣れ、2年目で業務の改善点を見いだし、3年目で業務改善を図るというイメージで仕事をするのが一般的だった。
 しかし、3年目になると「仕事にも慣れが出てくる」(人事課)として、この3年目を新たな業務に従事させ多様な経験を積ませた方が、中長期的に見て人材育成につながると判断したようだ。
 県は新採職員の異動サイクルを変更するに当たり、徳島を除く中四国8県と関西広域連合を構成する2府4県の状況を聞き取った。その結果、新採職員の最初の配属期間は「2年」と「3年」がほぼ半々だったという。
 大卒事務職の新採職員を本庁で2年間配属することを原則としている兵庫県は「最初の2年間だけで育成するわけではなく、次の所属でも育成は続く。その中で仕事を変えていくわけだから、いい経験ができている」(人事課)という。
 一方、14年度の入庁者以降、大卒・高卒を問わず事務職の新採職員の最初の配属期間をそれまでの2年から3年に延ばした愛媛県は「県職員としての基礎を確実に身に付けるには3年が適当だろうと判断した」(人事課)とする。
 どの県もそれぞれの考えに基づいて異動サイクルを決めており、正解はない。徳島県人事課の杉本武彦係長(人事担当)は「即戦力化を図るという意味では、入庁から2部署目を終えた4年で一人前になってほしい」と話している。

本記事では、徳島県における人事異動の取組方針を紹介。
同県では「採用当初は」、「政策企画部門を中心とした職場」と「現場に近い職場」を「おおむね半数ずつ配属」され、「その後の異動」では「3〜4年サイクル」で「いろいろな部署を経験」*1する人事異動。本記事によると、「最初の配属先」の「在職期間」を「従来の3年から2年に短縮」する方針を採用する模様。「組織人」*2としての育成状況は、要観察。

*1:徳島県HP(徳島県職員採用案内)「勤務条件:給与・勤務時間・休暇等

*2:桑田耕太郎・田尾雅夫『組織論 補訂版』(有斐閣,2010年)208頁

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

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