国民生活審議会(首相の諮問機関)は28日、内閣府内で総合企画部会を開き、福田首相が掲げる消費者・生活者重視の行政のあり方に関する報告書原案を提示した。
 「個々の公務員の意識改革が必要」として、国家公務員の昇進時に国民生活センターなど消費者相談窓口での研修を義務化するなどの具体策を盛り込んだのが特徴だ。3月末までに報告書をまとめ、首相に答申する予定だ。原案では、「公務員の意識改革と人材・組織」「政府の審議会や重要政策会議」「意見募集」の三つをテーマに、改善策や検討課題を指摘した。公務員の意識改革については、「昇進時に、消費者・生活者の実感を肌で感じ、共感できるような実地体験を含む研修を義務化」と明記した。食品偽装などの違反事案を見抜く専門的な職員も必要だとして、中途採用などによる外部の人材の積極採用も提案した。審議会や重要政策会議のあり方については、消費者・生活者の利益に関するテーマを審議する場合、「少なくとも30%を消費者・生活者の声を代表する委員とすべき」と掲げた。委員には、消費者団体や各種相談員、モニター登録者などからの任命を想定している。

同記事では、公務員の昇進時に国民生活センターや消費者相談窓口での研修を義務化することを、国民生活審議会が答申予定であることを紹介。
机上業務のみならず現場業務での政策の実施感覚を持つことは重要。そのため、趣旨は理解できる。ただ、その感覚を養う場が国民生活センターや消費者相談窓口であること、そして、それを「義務付ける」ことが妥当といえるのか、同記事のみではよく分からない。同審議会の第1回配布資料「行政のあり方の総点検の検討の視点(案)」*1では、次のような課題設定がなされており(5〜6頁)、この内容を敷衍した制度設計案の模様だが、昇進又はその義務化に関しては記載はない。

(3) 各府省庁職員の意識改革の取り組み
○職員が、真に消費者や生活者の視点に立った行政を行うため、その意識づけを促す研修等が行われているか。(行われている場合)受講内容及び受講状況は、具体的にどのようになっているか(例:毎年、全職員が○○○のテーマにて受講)。
○職員が、真に消費者や生活者の視点に立って職務を遂行しているか否かを評価する人事評価システムがあるか。(人事評価システムがある場合)具体的には、どのようなシステム(評価する基準、評価への反映方法等)になっているか。
○職員が、真に消費者や生活者の視点に立って職務を遂行するために、上記の研修等や人事評価システムの他、具体的にどのようなことを行っているか。(上記の研修等や人事評価システムも含め、特に職員の意識づけを促す取り組みを行っていない場合)特段の取り組みを行っていない理由は何か。

また、例え、当該研修を義務化し実際に行う場合、研究の設計及び実施イメージがこれまた同記事のみではいまひとつよく分からない。よもや、審議官・局長への昇進時に、審議官や局長の皆さんがずらりと相談窓口に座り、各窓口の先輩職員達(もちろん職位は下位)にその手際や対応について事細かく指導される姿は想定しがたいが。