戸田市は二十二日、市農業委員会を八月で廃止する、と発表した。都市化の進展で農家と農地が著しく減ったため。二十五日開会の三月定例議会に条例の廃止と一部改正案を提案する。全国では既に三十六区市町村が廃止しているが、県内では初。
 同市農業委員会は一九五一年に全国一斉の動きに合わせて設置された。農地転用や農業振興などが主な業務。委員は十四人で、任期は三年。報酬は会長四万一千円(月額、現在)、会長代理三万六千五百円(同)、委員三万二千円(同)。農業センサスによると、同市内の農地は七〇年にはすべて市街化区域内で三百七十二ヘクタール、農家数六百二十九戸に減少した。八五年のJR埼京線開通で都市化がさらに進展、同委員会調査で農地約十六ヘクタール(昨年八月)、農家数七十五戸(今年一月)まで激減した。
 農業委員会法などでは農地が二百ヘクタール以下の区市町村は農業委員会を置かなくてもいいとしている。しかも市街化区域内の農地は除外。これで戸田市の対象農地は生産緑地の四・七三ヘクタールだけとなった。昨年、市が実施した農業委員会の在り方や農地保全などを全農家アンケートした結果、「農家の高齢化と後継ぎがいない」「約九割の人が農業委員会をスリム化するか止めるべき」と思っていることが分かった。これを受け昨年十月の農業委員会で「役割は終わった」と全員一致で廃止を決議した。議案が可決されると委員の任期満了翌日、八月十一日で廃止となる。業務は市経済振興課で対応する。

同記事では、戸田市の農業委員会を、本年8月に廃止する予定であることを紹介。農業委員会に関しては、その特殊的な委員構成ゆえの機能不全も指摘される*1一方で、地域的には既に必要ではない地域も現れている。その一例。
ただ、農業委員会のように、地域実情に応じて廃止できる行政委員会はよい。今後、過度の少子化等による地域実情の変化があるにも関わらず廃止ができず、制度としての行政委員会のみが残ることも想定される。そのようななか制度としての行政委員会にはどの程度の継続意義があるのだろうか。もちろん共同設置の路もあるかも知れない。また、巷間言われているが、現行法制下では、新規の行政委員会の設置には総量規制があるため、新しい行政委員会(情報公開・個人情報保護等)の設置の路も開かれていない*2地方分権推進委員会以来の「自由度の拡大路線」を踏襲すれば、「選択の自由」もまた整備されることが望ましい。
そのようななかで、昨年から開催されている国土交通省の「良好な景観形成のための建築のあり方検討委員会」では、英国の建築都市環境委員会*3を参考にしつつ、自治体レベルでの建築の専門家の位置づけを高めることを検討している。仮に、同種の業務が自治体レベルでの導入が検討されることとなれば、行政委員会として位置づけることが適切かとも思う。

*1:神門善久『日本の食と農』(NTT出版、2006年)140頁

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

*2:宇賀克也『地方自治法概説 第2版』(有斐閣、2007年)186〜187頁

地方自治法概説 第2版

地方自治法概説 第2版

*3:概要は、次の通り