国際標準化機構(ISO)が定める環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証を県内市町村で初めて取得した金ケ崎町は、22日までの認証期間(3年)が切れたことを受けて、規格適合を示す方式を25日から自己宣言に切り替える。環境負荷を低減させた町運営が一定のレベルに達したと判断。専門の外部機関による認証と比べ対外的な認知度は低いが、審査料などの経費を抑えつつ、培った環境保全活動を継続していく。同町は1999年2月に、日本環境認証機構(東京都港区)からISO14001の認証を取得。本年2月で3回目の更新を迎えていた。25日は午前9時から町役場で自己宣言式を行う。自己宣言に伴い、町が依頼する有識者と町民の2人による外部確認制度を導入。初回は今月6日に行われ、特定非営利活動法人NPO法人)県環境カウンセラー協議会(北上市)の千葉清幸氏と、取得年の99年に町生活環境課長だった金ケ崎町西根の柏井慶一氏が担当。規格にのっとっていることを確認した。
 一方で、町職員による内部監査体制も充実させた。これまでの4人を25人に増員した上で昨年11月下旬に内部監査を実施。今後も、職員による監査と外部確認を年1回ずつ実施し、信頼性を確保する。認証取得に掛かっていた定期審査や更新審査の費用は3年間で約170万円。町の試算では切り替えにより3年間で約15万円に抑えられるという。
 町民に外部確認を依頼することで、町内の環境への関心も高めたい狙いもある。将来的には、外部確認の様子をより多くの町民に見てもらう。
同町の2006年度経常経費削減率は97年度比で事務用紙が68・1%(削減経費約127万1000円)、重油が71・3%(同約1233万円)などと成果は確実に挙がっている。高橋由一町長は「切り替えは、町役場が環境保全をさらに主体的に進める意思表示」としている。

同記事では、金ケ埼町でISO適合を自己宣言方式に変更することを紹介。ISO14001規格を内部化していく取り組み。
武智秀之先生によれば、認証制度には、認証時に規格の申請を行っても管理システムの持続が保証されないこと、企業の場合には認証が消費者(自治体であれば住民)の選択の判断に大きな影響を与えていないこと*1等の課題があるという。近年の自治体では、同記事のように、既に認証を得た自治体の間でも自己宣言方式への移行が見られつつある。これは、認証制度の機能面での問題よりも、審査登録機関に対する審査費用・登録費用の抑制が主たる目的であるよう(知識経営研究所による「地方自治体環境ISO推進事業に関する調査研究」結果は、参考となる)。そのため、より費用を抑えた自制的な仕組み(専門家による第三者による確認・評価等)を採用されているようだ。
ただ、認証や評価は「外部」や「第三者」に依拠することで、客観的とも考えられがち。それらの行為もまた間主観性のうえに成り立っているともいえる。認証制度、そして、評価制度も又、自制的な仕組みの定着が前提と思う。

*1:武智秀之「自治体間競争と格付け・認証」松下圭一西尾勝・新藤宗幸編『自治体の構想4 機構』(岩波書店、2002年)251頁

岩波講座 自治体の構想〈4〉機構

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