住民税(県民税、市町村民税)の滞納を減らそうと、県は市町との共同徴収体制について検討する研究会を設置した。昨年6月の税源移譲に伴い、住民税は県全体で約160億円増加。徴収率を高めなければ滞納額も増えるが、人員不足などで徴収対策が不十分な市町もあり、県と市町が共同で強化していく。
 国と地方財政三位一体改革によって所得税国税)が減り、住民税(地方税)が引き上げられた。この税源移譲で、本年度の県民税は約98億円、市町村民税は約62億円の増加が見込まれている。県内の住民税徴収率は98%前後。現状の徴収率のまま推移すれば、住民税の増加に合わせて滞納額も増える。県の試算によると、滞納額は県民税が3億円、市町村民税が2億円増加する。厳しい財政状況の中、徴収率アップは重要な課題。現在、県民税と市町村民税の徴収は市町村が担当しているが、中には人員的な問題から専任体制が不十分で、差し押さえや公売など徴収対策のノウハウが不足している自治体もある。こうした課題を改善するため、県は唐津市伊万里市など8市町の税務担当者とともに「共同徴収対策研究会」を立ち上げた。今後、高額滞納や徴収困難なケースに対し、県と市町が共同で徴収する組織の設置などについて検討。今秋までに具体案をまとめ、徴収対策を強化する。共同徴収はすでに一部で導入しており、昨年度は小城市など1市2町、本年度は嬉野市など2市3町と実施。昨年度は共同で取り組んだ滞納額5500万円のうち、44%に当たる2400万円を徴収し、県全体の滞納繰り越し分徴収率20%を大幅に上回った。

同記事では,佐賀県と県内市町村が共同で住民税徴収のための体制づくりのために研究会を設けたことを紹介.滞納整理か,その他税務業務を含めることになるかは要観察.
自治体レベルでは,滞納整理に関しては,滞納整理推進機構を設けるケースや,県職員派遣による共同徴収の実施が広がっている.また,近年では,京都府のように,課税・収納・滞納処分を府と市町村が共同で実施する取り組み*1や長野県でも検討を開始されたように*2都道府県と市町村における共同化は,自治体税務行政の近年の傾向といえる.もちろん共同化には功罪があるとも思われる.それは,税務行政の特質とされてきた「技術主義」の確保や「早熟的な同一化」*3都道府県と市町村間でも得られることができるかは未確定ではあること,その一方で,徴収に伴う土着性の桎梏からの乖離の効果も期待できるかとも思う.
税務行政は,税制の複雑さも反映し,実務家以外の観察者が業務の「相場観」を含めて理解するには困難も多々ある(以前に観察テーマと置いたものの,その後継続ができていないテーマの一つ).ただ,自治行政の基幹業務であり観察し続けたいテーマ.

*1:京都府HP「市町村と府の税務共同化

*2:長野県HP(発表資料5月9日(金))「長野県(総務部市町村課)プレスリリース:市町村と県の地方税業務の共同処理について検討するため、第1 回地方税共同化検討委員会を開催します]」

*3:伊藤大一『現代日本官僚制の分析』(東京大学出版会,1980年)236頁(昨日,久しぶりに書架から取り出して読んでみると,同書の面白さにただただひき込まれしまう)

現代日本官僚制の分析 (1980年)

現代日本官僚制の分析 (1980年)