中田宏横浜市長平松邦夫大阪市長、住田代一名古屋市副市長は19日、総務省増田寛也総務相と面談し、3市の行政権限を拡大するため、「大都市制度」創設への協力を求めた。3氏によると、増田氏も「必要だと思う」と答えた。
 面談後に会見した中田市長は、現行の政令指定都市制度の問題点として「市が単独で決定できない都市計画があったり、繁華街の治安対策で市民の要請に応えられない」といった問題点を指摘。中でも財政規模が大きい3市では、都市計画の権限強化や、都道府県にある警察権限の一部移譲なども可能にする「大都市制度」を検討すべきとしている。その具体化に向け3市は9月にも、学識経験者などによる「大都市制度構想研究会」を設置。本年度中に、国や府県からの財源や国道・河川などの管理権も含めた権限移譲案をまとめる。

同記事では,横浜市大阪市名古屋市の3大都市が共通の研究会を設け,権限移譲案等を取りまとめる予定であることを紹介.3市長は,総務相に面談し,大都市制度創設の必要性と協力を述べたとのこと.同研究会の状況については,横浜市のHPを参照のこと*1
地方制度調査会でも,余り腰を据えて審議されることが少ない大都市制度.とはいえ,一般的(総論的)な制度論(いわば,48番目の広域自治体(正確には広域的基礎自治体か)への移行程度の議論)としては飽和状態ともいえる.説得力から考えれば,個別具体な(権限・財源)各論で展開することも必要か.横浜市HP内の同研究会の報道資料を拝見させていただく限りでは,その検討項目として,「3市が担っている役割と現行制度の弊害」「自立度の高い効率的な大都市経営を可能とする制度設計」「市民・国民へのメリットと権限、財源移譲のイメージ」「水平連携による大都市と地方の共存」等が掲載されており,比較的総括的な議論となりうることも想定されうる.ただ,あわせて,「3市における研究成果」という,各市での既存研究の成果*2をも活用するともあり,余り大所高所からの議論に終始することなく,より実績と根拠に基づいた(Evidence-Based*3)制度設計論も期待できそうか.要観察.
なお蛇足.個人的には,同研究会の名称が,前職で,開催した研究会と同一名称であることに驚き(もちろん「ビック3研究会」の方ではありません).同研究会の報告書は,4月29日付の本備忘録でも紹介した,財団法人東京市政調査会が編集された『大都市制度史(資料編)Ⅳ』(指定都市市長会,2006年)内に集録.思い出半分,同書を開いてみると,同研究会の報告書掲載部分の最後に,「大都市制度の多様性を保障した制度こそが,これらの制度構想において重要である.今後,指定都市は自らの多様性を互いに確認しつつ,これからの制度の実現に向けた更なる継続的な検討及び要請活動を期待したい」*4との個人的な思いを記していたことに気付く.
自治制度は,自治の現場の多様性に対して,制度上,いかに寛容であり,大都市に選択の自由を与えることができるのだろうか.