伊藤正次「改正社会教育関連三法と自治体」『地方自治職員研修』第41巻No.9,2008年9月号,22〜24頁.

地方自治職員研修 2008年 09月号 [雑誌]

地方自治職員研修 2008年 09月号 [雑誌]

伊藤正次先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
同法改正は,下名,全く把握しておらず,大変勉強になりました.国会審議における必置規制を巡る「逆転現象」(23頁)の観察結果には驚き,同法改正により,「事実上「学校教育委員会」と化しつつあった教育委員会の「活性化」を図る構想に組み込まれたと理解することができる」(24頁)との分析には,伊藤先生による嘗ての御高論*1を念頭に想起しつつ読ませていただき,大変納得をいたしました.
法改正に限らず,時事的なテーマを論じることは難題と思う.既存の外在的ともいえる考察や評価は当然限られており,その一方で,内部的な観察結果(情報・資料等も含めて)も十分にあるとはいえない.そのため,時事的なテーマを扱う論考では,十分に当該テーマの背後に縷々綿々として通底している意義や(設計)理念等の分析もほどほどに,表面的ともいえるような制度審議や微細な改正事項を追う内容か,又は,自論を展開された内容となりやすく,余りにも脆弱すぎる内容となり,読み手としては余り楽しいものではない結果となりやすい.一方で,本稿のように,このような二重苦ともいえるなかでも,その全体像と意義と今後の課題を,限られた紙面の中で,決してブレることのなく明瞭かつ端的に論じられる筆運びは,時事的なテーマを扱う際の所作を,大変勉強させていただきました.

*1:伊藤正次「教育委員会松下圭一西尾勝・新藤宗幸編著『岩波講座 自治体の構想 4 機構』(岩波書店, 2002)49〜52頁

岩波講座 自治体の構想〈4〉機構

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