滋賀県は2日、来年4月に予定する出先機関の見直し方針案を明らかにした。総合地方機関である現在の振興局・県事務所は廃止し、行政分野ごとに独立した事務所に再編する。担当する地域も一部で拡大させ、効率化やスリム化を図る。
 分野別の事務所は、環境・総合事務所(6カ所)▽県税事務所(4カ所)▽健康福祉事務所(6カ所)▽森林整備事務所(4カ所)▽農業農村振興事務所(6カ所)▽土木事務所(8カ所)=いずれも仮称=の6種類。おおむね現在の6振興局・県事務所の担当区域ごとに置くが、中部県税事務所(東近江市)が東近江、甲賀両地域を受け持ち、西部・南部森林整備事務所(大津市)が大津、高島両市域と南部4市を担当するなど、一部の所管区域を広げる。税務部門は窓口機能を各地域に残す。災害や危機管理事案が発生した場合には、新設の「地域防災監」(仮称)を兼ねる環境・総合事務所の所長が責任者として各事務所との調整にあたる。県は今後、市町の意見などを踏まえ、12月県議会に見直しに伴う関連の条例案を提案する。

同記事では,滋賀県において,出先機関の再編方針を検討していることを紹介.従来の振興局・県事務所から,機能別(行政分野別)の出先機関に改められることとなる模様.
理念的には,出先機関には,機能別制(functional system)と総合出先機関である地方長官制(prefectorial system)に分けられ,金井利之先生によれば,それぞれ「分立対統合」に対応する *1とされる.同県の場合,純粋な意味で機能別制に分化することとは異なり,担当圏域は現行の振興局・県事務所を継続した,「環境・総合事務所(仮称)」を置き,比較的限定縮小した分野を所掌する「総合」出先機関の設置を継続する*2ため,能別制と地方長官制の併設型又は,分立と統合の併発型とも整理できそう.
1月24日付の本備忘録では,都道府県の地方出先機関の見直し路線の類型として,区域再編(拡大・分散)と機能再編(本庁集約・出先機関拡大・市町村へ分権)の2つの分類点から6種類に分類化を試みてはみたものの.同県の場合,区域再編も併設型,機能も既存の出先機能は,機構は変われど,機能は維持はされる模様.機構改革の分類はなかなか難しい.個人的に,大きな観察テーマとしている市町村への権限移譲の議論とは別建てと理解することが適当なのか,要経過観察.

*1:金井利之「空間管理」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)165〜166頁

行政学の基礎

行政学の基礎

*2:毎日新聞(2008年10月3日付)「県:地域振興局、来春に廃止へ /滋賀」,産経新聞(2008年10月3日付)「滋賀県が地域振興局廃止へ 来年4月から新組織移行の考え