親が国民健康保険の保険料を滞納し、その子どもも「無保険」状態となっている問題で、福岡市は25日、滞納している世帯の中学生以下の子どもに、有効期間を6カ月間とした保険証を交付すると発表した。12月中に対象世帯に案内を送付し、区役所で渡す。対象者は8月末現在、415世帯の640人。
 福岡市は現在、保険証を世帯単位で交付。保険料を滞納した世帯には、診療費が全額患者負担となる「資格証明書」を渡している。市は「親の納付状況によって、子どもが病院に行きづらい状況はなくそう」と、中学生以下の子どもに無条件で保険証を交付することにした。吉田宏市長はこの日の会見で「保険料の負担の公平性を保つため、滞納している親には、保険料を納めてもらうよう説明し、理解してもらうよう努めたい」と話した。一方、北九州市も同日、15歳以下の子どもがいて国民健康保険料の長期未納で保険証が交付されていない209世帯に対し来月上旬、特別に案内を送付し、窓口で手続きすれば短期保険証(有効期限3カ月)を交付すると発表した。市によると、「無保険」の15歳以下の子どもは310人(8月末現在)。以前からある制度を活用し、納付の誓約か特別な事情があれば、短期保険証を交付する。子どもだけでなく、世帯全体に交付される。

同記事では,福岡市において,いわゆる「無保険」状態にある中学生以下の子どもに対して,無条件で有効期限を6ヶ月とする短期被保健証を交付することを紹介.北九州市でも,来年3月末迄の短期被保険証を発行することも,産経新聞では報道*1
厚生労働省の調査結果では,全国で3万2,903名ともされる「無保険」の子ども*2.資格証明書の発行に際しては「機械的な運用を行うことなく,特別の事情の有無の把握を適切行った上で行うこと」*3とされるなか,「緊急的な対策として」「短期被保険者証」の交付が努力目標として通知.
自治体では,和歌山市のように段階別とする方式*4,札幌市のように18歳未満とその対象範囲を広げる方式*5のように,若干異なる方式で採用さえている.短期被保険証の交付という努力目標内での方式の異なりの要因が,何所にあるのかは興味深い観察課題か.一方で,佐賀「県知事」・新潟「県知事」が共同で,「子どもを一律に給付停止の除外対象とするための」国民健康保険法の改正を求めたり*6,また,野党四党により「18歳未満の子どもに一律に保険証を交付する条文を盛り込む」国民健康保険法改正案を提出するとの報道*7もあり,一律的対策とする案も出てきている.いずれも,国民健康保険制度という制度を考えるには興味深い動向.
なお,制度としては「均等割(頭割り)である部分が大きいので,貧困層にとっては比較的に「お高い」保険料」*8とも分析される国民健康保険の保険料制度についても,検討対象となるのだろうか.今後の動向は要観察.