熊本県宣伝部長」の地元出身タレント、スザンヌさんによるPR活動が好調だ。専用ホームページ(HP)のほか、自身のブログでも県産品などをアピール。十二日には東京である県のイベントに登場する。
 スザンヌさんは昨年十一月に「部長」就任。HPは一月九日に公開され、初日のアクセス数は約一万八千五百件と県HPの平均アクセス数の六倍を記録。このうちトップページを通じた企業立地ガイドへのアクセス数が過去最高の約六百件に上ったという。アクセスは一日千件ほどに落ち着いているが、九日にはHPを更新して新コーナーも登場する。アクセスした人が「宣伝部員」に登録すると、スザンヌさんの“部下”となって口コミPRを担う。その宣伝部員は二日までに五百二十九人に達した。
 「ブログオブザイヤー2008」に輝いた人気のブログでは、鹿本農高の米粉パン「コメロンパン」と県特産イチゴ「ひのしずく」を「是非食べてみてくださいっ☆」と紹介している。
 十二日には東京の東急ストア錦糸町店で熊本の農産物に関するクイズなどに登場する。県広報課は「全国のスザンヌさんのファンなど、今まで熊本に関心がなかった人にも情報が届くきっかけになっているようだ」と話している。(小多崇)

本記事では,熊本県において就任された宣伝部長HPが公開されたことを紹介.初日のアクセスが18,500件と,通常の同県HPへのアクセス数の6倍であったとのこと.同数値からは,むしろ,自治体HPへの通常的なアクセス数が,3,000件もあるものなのかとも驚く.
同県同部長HPを拝見すると,その内容は,単なる観光資源を紹介するに止まらず(むしろ観光に関する内容は抑制的か),同県の農林水産物,同県への企業立地,居住促進の「すすめ」が,バランスよく同部長より「主張」*1されている.意外なほど手堅い内容.下名,個人的には,同HPのトップページは,同部長のやる気に満ちた姿勢とともに,同県知事が同部長の後ろにひそりと立ち,同部長のその姿勢に対して柔らかに微笑んでいる様子が印象的.
同知事の姿勢を見ると,長の職にある方は「総合性」*2のもとに,全ての業務を長が従事する必要は皆目なく,もちろん,2008年6月2日付の本備忘録でも触れた「トップセールス」が得手の方であればその能力を発揮し,一方で,同県のように,より優れた適任の人材を見出することができたならば,2008年1月21日付の本備忘録でも触れたように,長の職自らの職務を重点化するためにも,その方へ「委任」し(もちろん2008年11月25日付の本備忘録で見たような「エージェシースラック」*3の発生を抑制するよう一定程度は監督しつつも),最終的には自らはその責務を負い,基本的には業務を全権的に委任する方式もまた,組織運営上は重要であることを考えさせられる.
同記事にもある「宣伝部員」「募集」に関しては,同部員就任の後,「課長昇進」も可能とのこと.同部長のもとに,多数の部下が置かれることで,「委任構造の複線化」*4が発生されるのではないかとも懸念はされるが,2008年2月29日付の本備忘録でも触れたように,下名,「自治体職員の昇任管理制度」という,全く一般受けがされない観察課題を観察の中心と置く身としては,部員に早速登録.

*1:熊本県HP「熊本県宣伝部長スザンヌ&蒲島知事のダイスキ!くまもと

*2:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)45頁

自治制度 (行政学叢書)

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*3:J.M. ラムザイヤー, F. ローゼンブルース『日本政治の経済学』(弘文堂,1995年)4〜6頁

日本政治の経済学―政権政党の合理的選択

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*4:藤本隆宏『能力構築競争』(中央公論新社,2003年)231頁

能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書

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