東京都千代田区などが出資する財団法人「まちみらい千代田」は、全国の小規模市町村などが東京での情報発信の拠点に使えるよう、都心のオフィススペースを格安で貸し出す事業を9月から始めた。
 同財団が民間会社と共同で運営し、民間非営利団体NPO)や起業家に提供している千代田区のビルの一角(18平方メートル)を、複数の自治体で共用する「市町村サテライトオフィス東京」として月1万5750円の利用料で貸す。対象は市町村やその外郭団体で、20団体を募集中。
 地下鉄東西線竹橋駅近くという立地の良さを生かし、東京でのイベント開催や出張時などに活用してもらう。共用デスクや専用キャビネット、インターネットなどが使えるほか、常勤スタッフが市町村の情報発信などの相談にも応じる。
 同財団の関幸子専門調査員は「地方と東京をつなぐ場として、これまで都心にオフィスを持つことが難しかった自治体にぜひ利用してほしい」と呼び掛けている。サテライトオフィスの問い合わせ先は電話03(3233)7558。

同記事では,財団法人まちみらい千代田が提供する,複数の市町村が共有で利用するサテライトオフィースの取組について紹介.2009年5月4日付の本備忘録で取りあげた大谷基道先生による都道府県東京事務所の研究では,同事務所における「情報入手活動」*1の役割が分析.一方で,同取組は,2009年5月11日付の本備忘録でも触れたアンテナショップの取組とともに,東京事務所における「情報提供活動」を支援するための取組の模様.詳細は,同財団HPを参照*2
自治体専用「に区画されたオフィス・スペース」が「18平米」となり「共用のフリーアドレス形式」.「利用時間帯」は「9:00から22:00まで」の11時間.「3名様まで同時に利用が可能」ではあるものの,「その場合,二人目の方からゲストカード(有料:1日500円)が必要」ともある.その他にも,「専用キャビネットの提供」,「有線/無線によるインターネット接続」,「共用のメールボックス」,「1階のコンシェルジュ」による「利用者の受付・案内」,「常勤専門スタッフによる各種相談」を,「初期登録料:10,500円(セキュリティカード作成登録)」後,「月額利用料:15,750円」で利用することができる.
2008年3月11日付の本備忘録でも言及した,都市自治体における東京事務所は,都道府県東京事務所にように「高層集合住宅」的に配置はされておらず,同備忘録の表現を再掲すれば,「「こんなところにも東京事務所」というようにひっそりと肩を寄せ合いつつ,分散的に設置」されている.そのため,都市自治体における東京事務所では,その賃料の支払次第では,(勿論,東京事務所の撤退という判断に至る場合もあるものの),より安価な賃料で利用できる空間を求めて,「東京事務所難民」化する蓋然性が,常時内包されているようにも考えられる.同取組,「情報提供活動」専門として東京事務所を利用する自治体にとっては,非常に有益な取組.どのような自治体が利用されるのだろう,要観察.

*1:大谷基道「都道府県東京事務所の研究−東京事務所不要論と国・都道府県の関係−」『年報行政研究44 変貌する行政』(ぎょうせい,2009年),174頁)

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

*2:財団法人まちみらい千代田HP(千代田day's:まちみらい千代田:ニュースな情報)「市町村サテライトオフィス東京