かるく,さるく

2009年12月14日夜から12月15日お昼すぎまで,長崎市に滞在.2009年12月15日には,長崎市さんに伺わせ頂き,聞き取り調査を行わせて頂きました.調査を受け入れて頂きました,長崎市の皆様には大変お世話になりました.心より御礼申し上げます.
聞き取り調査のテーマは,2009年11月12日付の本備忘録に記し,同年11月11日に訪問をさせて頂きました宮古市さん,2009年11月19日付の本備忘録に記し,同年11月18日に訪問をさせて頂きました下関市さん,そして,2009年12月13日付の本備忘録に記し,同年12月11日に訪問をさせて頂きました富山市さんへの聞き取り調査のテーマと同様に,同市が取り組まれてこられた,組織管理・予算管理・人事管理の各管理機構,意思決定手続,首長の補佐機構等について.
聞き取り調査では,2009年10月23日付の本備忘録で記した下名の近年の観察対象の中心でもあります庁議制度を中心に,同市に設置された「都市経営会議・都市経営執行会議」*1に関して,大変充実したお話を頂きました.(下名が勝手に分類しております)「複層式」*2の類型にあたる同市における庁議制度を通じた「調整」形態,そしてその動態は,庁議間関係を考える上で,大変参考になりました.早々に取りまとめさせて頂きたいと思います.
聴き取り調査の終了後は,空港に向かうバスへの搭乗時刻迄の間を利用して,同市内を,かるく「さるく」.
まずは,市役所からの坂道を降り,「公会堂前」から路面電車に搭乗し,「大浦天主堂下」まで移動.「ワンコイン電車」*3として,その「輸送人員」からも「路面電車の「優等生」」*4とも称され,市民に「親しまれてきた」路面電車.今回乗車してみると料金表は「120円」とあり,前日の初乗り時点では,やや焦りがあったものの,本年10月1日から「1984年に大人を10円引き上げて以来25年ぶり」に,「大人均一運賃を100円(子ども50円)から120円(同60円)」*5と改訂されていた模様(それにしても安価ですが).


同駅到着後は,同堂及びグラバー園を観察.同園のグラバー邸附近からは眺望が優れてよく,同市内を一望していると,東京からの往路にて読了した『「都市縮小」の時代』にも記されていた,同市の「斜面地都市」として様相と,そのための「斜面地暮らしの持続可能性」という「政策課題」*6も想起される.同園の後,孔子廟オランダ坂,出島(当然ですが,既に「出」てはいませんでしたが,その「石垣」が復元されておりました),そして,自治体行政観察者にとっては不可避な観察対象の一つであり(本当か?),そんな奇特な観察者にも親切な交通標識に誘われて,2008年7月15日付の本備忘録でも紹介した同県庁舎を経由し,長崎駅への2時間程度の行程を,正真正銘「さるく」(歩いてまわることができる都市は魅力的ですね).

*1:長崎市HP(長崎市のこれから長崎市都市経営会議・都市経営執行会議)「長崎市都市経営会議及び長崎市都市経営執行会議要綱

*2:松井望「首長と事務機構−首長の意思決定機構を支える仕組みとしての庁議制度−」『都市とガバナンス』Vol.12,2009年9月,24頁

都市とガバナンス 第12号

都市とガバナンス 第12号

*3:今尾恵介『路面電車』(筑摩書店,2001年)112頁

路面電車―未来型都市交通への提言 (ちくま新書)

路面電車―未来型都市交通への提言 (ちくま新書)

*4:前掲注3・今尾恵介2001年:112頁

*5:長崎新聞(2009年9月30日付)「路面電車あすから運賃120円 子ども60円、25年ぶり値上げ

*6:矢作弘『「都市縮小」の時代』(角川書店,2009年)181頁,183頁

「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)

「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)