砂原庸介先生,高橋洋先生,手塚洋輔先生,山本健太郎先生(五十音順)より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
本書の寄稿順によりますと,山本健太郎先生は「第2章 小沢一郎と政界再編 「政策」と「政局」のはざまで」,砂原庸介先生は「第4章 もうひとつの政界再編 政党における中央地方関係の変化とその帰結」,高橋洋先生は「第5章 内閣官房の組織拡充 閣議事務局から政策の総合調整機関へ」,手塚洋輔先生は「第6章 だれが「更迭」されるのか 不祥事に対する大臣と官僚の引責メカニズム」と題する,御高論を寄稿されております.
2009年12月25日付の本備忘録にて購入及び紹介をさせていただきましたが,各御高論におきまして,分析,考察を深められている,政治家個人と政策,政治を支える県連という団体,内閣を補佐する内閣官房という機構,そして,各種帰責をめぐる政治家,官僚及び官僚機構の処遇に関して,その変化と持続を明確な根拠を下に分析された,各御高論はいずれも,1990年代以降の政治行政上の「変化」を考えさせていただくうえで,大変刺激的でした.
やや唐突ではありますが,各御高論を拝読させていただき,アレクシス・ド・トクヴィルが,フランス革命前後への緻密な資料分析通じて明晰に次のように喝破した「旧体制には,実は最新の制度がこぞって用意されていた.これらの制度は,決して平等に反するものではなかったから,新しい社会に容易に根づくことができたが,独裁政治にも奇妙な便宜的手段を与えた.人々はこの最新の制度を,古いあらゆる制度の残骸のなかから探し出して,再発見した.この制度とは,かつては国民を分割し馴致することができた慣習,感情,思想を生み出したものだった.この制度は再生産され,活用された」*1ことを,想起させて頂きました.
このような着想自体が,各御高論の本旨では決してない,とのお叱りを頂きそうですが,各政治家,団体,機構,帰責の変化に焦点を当てられ,鮮やかに分析された御高論を拝読しますと,その反射光のように,変化のなかでの不変(または,普遍)(本書「はしがき」の表現を参考にさせていただくと,いわば,「変化の果てに何が失われ」(鄯頁)ていないのか),不変(または,普遍)のなかでの変化とは何かを,より考えることができました.ありがとうございました.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました.

*1:アレクシス・ド・トクヴィル『旧体制と大革命』(筑摩書房,1998年)407頁

旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)

旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)