東京都府中市が44年前に導入した「ダストボックス」が1日、廃止される。24時間いつでも家庭ごみを捨てられる仕組み。「府中方式」として注目を集め、一時は他自治体も追随したが、分別が徹底されず、市外からの越境投棄が絶えなかった。市は2日から有料の戸別収集で減量を目指す。
 1日朝、同市内の住宅街に設置されたオレンジ色の箱。白いごみ袋があふれ、周囲には毛布や大量の傘がずらりと並ぶ。ごみ出しに現れた主婦(64)は「週末でも捨てられて便利だったが、廃止は時代の流れだから仕方がない」と話した。府中市がダストボックスによる回収を始めたのは1966年。「可燃」「不燃」の鉄製の箱を市内7千カ所に設置。猫やカラスなどに荒らされず、24時間捨てられる便利さが好評で、多摩地域に広がった。

本記事では,府中市におけるごみ収集方法の見直しの取組を紹介.同市に設置されてきた「ダストボックス」の撤廃の様子を紹介.同撤廃に関しては,同市HPを参照*1
2010年2月2日付の読売新聞によると「市内約7000か所に約1万5000個」*2が設置されていたことが報道されており,「道端を歩くと,約50メートルごとに,かくれんぼができるぐらいの鉄製の容器」*3とも評されることもある「ダストボックス」.
2010年1月29日付の東京新聞では,「廃止直前の今月二十七日,市役所近くの同市本町では,不燃ごみを回収するオレンジ色の鉄製ダストボックスに,ふたが閉まらないほどのごみが詰め込まれていた」*4ことで,「まるでごみの無法地帯のような状態」との,いわば駆け込み投棄の様子も報道.
財団法人東京市町村自治調査会による調べでは,東京都に位置する30市町村のうち「家庭系の一般ごみは,19市町で有料収集」*5されており,同紙に隣接する市のうち,調布市,日野市,小金井市,多摩市,稲城市では有料化(ただ,その他の隣接する,三鷹市国分寺市国立市は「未導入」*6の模様).今回の同市の「府中方式」からの「有料の専用袋」による「戸別収集」への変更は,本記事にも紹介されているように「越境投棄」の抑止も想定されている.「未導入」であっても「戸別収集」の自治体では想定しがたいものの「ステーション」方式を採用している市に対しては,勿論場合にもよるが,逆流的な「越境投棄」も観察されることにもなるのだろうか.
なお,「撤去したダストボックス」に関しては「有価売却し,金属としてリサイクルする予定」*7とのこと.

*1:府中市HP(府中でくらすごみ・リサイクル)「ごみ収集方法の見直しについて

*2:読売新聞(2010年2月2日付)「「ごみボックス」撤去開始府中 きょうから有料収集

*3:杉本裕明・服部美佐子『ゴミ分別の異常な世界』(幻冬舎,2009年)52頁

ゴミ分別の異常な世界―リサイクル社会の幻想 (幻冬舎新書)

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*4:東京新聞(2010年1月29日付)「【社会】府中のゴミ捨て無法地帯に ダストボックス廃止で4倍増

*5:財団法人東京市町村自治調査会HP(調査研究活動)『多摩地域ごみ実態調査(平成20年度統計)』(平成21年8月)49頁

*6:前掲注4・財団法人東京市町村自治調査会(多摩地域ごみ実態調査(平成20年度統計)50頁

*7:前掲注1・府中市(ごみ収集方法の見直しについて)