川勝平太知事は8日の定例記者会見で、県教委や県公安委など非常勤行政委員の報酬の支給方法について、対象となる9委員会すべてを現在の月額報酬から日額報酬に改める考えを示した。県議会2月定例会に条例改正案を提出する。県によると、すべての委員会を日額報酬にするのは全国都道府県で初めてという。
 対象となる9委員会は人事、選管、労働、収用、海区漁業調整、内水面漁場管理など。日額にした場合の報酬額は、常勤委員の給料月額を基本勤務日数で割り戻した3万5400円(委員長・会長は10%加算)を予定する。過去3年間の平均活動実績で試算すると、非常勤行政委員66人(県教育長を除く)に対する報酬総額は計約6千万円となる見込みで、従来より約5割減となる。
 川勝知事は「仕事量に応じて報酬を支払うのが原則。例外を設けない。(活動日数が)多いからといって月額に全部ならすことはしない」と述べた。県特別職報酬等審議会は今月1日、支給方法を「一律的な裁断を行うことは困難」とし、日額にする対象委員会を明記せず、知事に最終判断を委ねる意見書を提出していた。2009年4月現在、日額で報酬を支給しているのは13都道府県で、対象は1〜3委員会に限られ、日額報酬を協議中の自治体でも、対象委員会を限定しているという。

本記事では,静岡県における行政委員会委員の報酬に関して「日額」制を採用する方針であることを紹介.2009年1月23日付の本備忘録にて取り上げた,行政委員会委員報酬の「月額制」に関する違憲判決を受けて,同年2月12日付同年8月23日付同年11月25日付の各本備忘録で言及した報酬制度の「見直し」に向けた,各自治体における検討事例.同県では,全ての委員会における非常勤委員の報酬を「日額」制を採用されるとのこと.なお,2010年2月8日付の読売新聞による報道にもあるように,非常勤委員のみが対象とされるため,「監査,人事の常勤委員は月額制」*1となる.
本記事で紹介されている「特別職報酬等審議会」による意見書に関しては,同県HPでは,現在までのところ.確認ができないものの,2009年11月19日付の産経新聞による報道を拝読すると,2009年11月段階では「「月1千〜3千円の減額が適当」とする意見が付記」*2されており,本記事でも紹介されているような意見が示されていた模様.
「委員等の職務には,いつ問題が提起されても対応しなければならないことも少なくない.いわば常時,職務に対して潜在的待機状態に置かれているとするならば,役所に出向く意味の勤務のみに着目することなく,月額報酬とすることにも十分な合理性があるというべき」*3との見解があるものの,方や,同県の本方針は「「ノーワーク・ノーペイの原則」を具体化」*4されたとも整理ができそう.果たして,本記事でいう「日額報酬」の対象となる「仕事量」が,委員会への出席のみに限定されるのか,はたまた「潜在的待機状態」(特に,正式会合以外での委員会に要する準備及び調整会合等)をも含まれることになるか,要確認.

*1:読売新聞(2010年2月8日付)「非常勤行政委員の報酬、日当制に…静岡県

*2:産経新聞(2009年11月19日付)「県特別職報酬等審議会 知事、議長らの報酬引き下げを答申 静岡

*3:碓井光明『政府経費法精義』(信山社,2008年)199頁

政府経費法精義

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*4:前掲注4・碓井光明2008年:165頁