「国と地方の協議の場」設置法案の内容について、政府と自治体側が話し合う実務検討グループの第3回会合が18日、首相官邸で開かれ、政府は協議の場に首相が出席して発言できるとする修正案を提示、自治体側と合意した。政府は直ちに法案作成に着手、3月上旬の国会提出を目指す。
地方側の求めに応じ、国の政策の企画、立案段階から政府と自治体側が協議することも修正案に明記。政府は地方の意見を政策に反映させ、最重要課題に掲げる地域主権を実現したい考えだ。協議の場は、官房長官、総務相、財務相ら関係閣僚と、全国知事会など地方6団体の代表者がメンバー。地方行財政に関する事項や、地方自治に影響を及ぼす社会保障政策などをテーマに定期開催し「メンバーは協議結果を尊重しなければならない」とした。
政府が1月の第2回会合で示した当初案では、首相は会議に出席しないとしていた。地方側は首相のリーダーシップで改革を進めるため、首相を議長とするよう求め反発、政府側は会議メンバーではない首相の参加について「いつでも出席し発言できる」と差し替えた。
本記事では,いわゆる「国と地方の協議の場」の法制化に向けた審議状況に関して紹介.2009年12月19日付及び2010年1月29日付にて紹介した「国と地方の協議の場実務検討グループ」における第3回開催状況.同グループにおける「国と地方の協議の場」の設置に関する法案について,「実務」レベルでの「合意」には至った模様.詳細を確認しようと思い,検討グループHP*1を拝見するものの,同回の提出資料及び議事概要は,現在までにはところ,公開されていない模様.残念.公開後,要確認.
本記事では「自治体側と合意」した本「修正案」を踏まえて「政府は直ちに法案作成に着手,3月上旬の国会提出を目指す」との予定が示されている.ただ,2010年2月15日に開催された第2回の地方行財政検討会議*2において新たに設置された二つの分科会における「検討項目」には含まれてはいないことから除外はされるかとも想定されるものの(ただ,同会議における「地方政府基本法」の内容次第では,「後法は前法を打ち破る」*3ことも想定されなくもありませんが),「国と地方の協議の場実務検討グループ」の設置が,2009年11月17日付の本備忘録でも紹介した「国と地方の協議」*4を設置根拠であるとする場合,同場における同法案に関する再度の審議・承認,又は,2009年12月15日付の本備忘録でも紹介した「地域主権戦略会議」における審議・承認が図られることも,「儀礼的均衡の再確立」*5とも整理されるかもしれないものの,審議手順としては適当とも想定はされそう.
ただ,本記事のように,法案提出が「3月上旬」迄となる場合,両会議体が開催され,更には各会議体での「とがめ,申し出,受容,感謝」という「修正プロセス」*6を経た合意のうえで,法案が作成されるまでの日程が確保されるかは,要経過観察.
*1:内閣府HP(地域主権)「国と地方の協議の場実務検討グループ」
*2:総務省HP(組織案内:研究会等:地方行財政検討会議:第2回(開催日平成22年2月15日))「資料2地方行財政検討会議の分科会について(案)」
*3:総務省HP(組織案内:研究会等:地方行財政検討会議:第2回(開催日平成22年2月15日))「配布資料1−1西尾構成員提出資料 地方政府基本法についての意見 西尾勝」2頁
*4:首相官邸HP(各種本部・会議等の活動情報)「国と地方の協議」
*5:アーヴィン・ゴッフマン『儀礼としての相互行為』(法政大学出版会,2002年)18頁 儀礼としての相互行為―対面行動の社会学 (叢書・ウニベルシタス)
*6:前掲注5・アーヴィン・ゴッフマン2002年:21頁