競売入札妨害の疑いで職員が逮捕された玉東町を含む県内の23市町村が、公共工事を発注する際に指名業者名や入札金額などの入札情報を開示しておらず、入札契約適正化法に違反していることが13日、分かった。県は近く改善を求める。
 同法は2001年4月、公共工事の入札や契約の適正化を促進することなどを目的に施行。入札過程や内容の透明性確保、公正な競争の促進、不正行為の排除の徹底などを求めている。発注者の地方自治体などには、入札参加者の資格や入札金額、落札者名や落札金額など最大30項目の公表を義務付けている。
 県市町村総室によると、法令違反があるのは宇城市荒尾市など2市16町5村。非開示項目が最も多かったのは南小国町山江村で、指名業者名や指名理由など13項目を公表していなかった。玉東町の12項目、植木町五木村の11項目が続いている。県は、国土交通省総務省が昨年9月時点を基準に全国で実施した調査でこれらの事実を把握。本年度中に国交省から通知が届くのを待って、総務部長名の文書で各市町村に改善を求める。県市町村総室は「法令に基づいて情報を開示するよう毎年周知しているが、なかなか改善が進まない」という。
 一方、職員が逮捕された玉東町は入札情報が十分に開示されていない点について「今後疑いが持たれないよう、法律にのっとって改善すべきものは改善していく」としている。(高宗亮輔)

本記事では,熊本県内に位置する市町村における入札情報の開示状況を紹介.本記事にて紹介されている国土交通省による「入札契約適正化法に基づく実施状況調査」結果については,同省HPを参照*1
「公共事業改革における国と地方自治体の関係」としては「国の改革動向は,地方自治体が改革を着手する際の契機になることはある」ものの「時として,国の制度は,地方自治体が改革を進展させようとする場合には,阻害要因となり得る」*2との分析結果もある.自治体の「独自性・自律性」*3が公共事業改革には観察される模様.そして,公共事業改革が行われた自治体に対する「事例研究の結果」からは,その要因としては,「公共事業改革は,有権者を起点して,改革を志向する首長等の政治家への支持,政治家から行政職員へのマネジメント改革や,議会と行政のそれまでの依存・馴れ合い関係から緊張関係へ変化することで改革が進展していることが明らか」*4とも分析されている.
ただ,「入札制度改革は国やほとんどの自治体では改革は途上」*5とも評されるなかで,本記事のように公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づく開示事項に関して,非開示の選択を継続される「自律性」のその要因とは何か,考えてみたい課題.
なお,蛇足.本記事では,「各市町村に改善を求める」よう,同県「総務部長名の文書」を提示する方針であることも報道.市町村に対して都道府県から提示されることにより,「共通性・他律性」を予期するとも想定される同文書,どのような性格の文書なのだろうか,要確認.

*1:国土交通省HP(報道・広報報道発表資料平成22年2月)「入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果について(平成22年2月17日)

*2:三田妃路佳『公共事業改革の政治過程』(慶応義塾大学出版会,2010年)248頁

公共事業改革の政治過程―自民党政権下の公共事業と改革アクター

公共事業改革の政治過程―自民党政権下の公共事業と改革アクター

*3:前掲注2・三田妃路佳2010年:249頁

*4:前掲注2・三田妃路佳2010年:250〜251頁

*5:前掲注2・三田妃路佳2010年:252頁