京都市は14日までに、大規模事業所などを対象に、マイカー通勤をやめて公共交通を利用する「エコ通勤」を義務付ける検討を始めた。市地球温暖化防止条例の改正も視野に入れる。義務化されれば政令指定都市で初めてとなる。審議会での検討を踏まえ、来年4月以降の実施を目指す。
■マイカーから公共交通に 条例改正も視野
 義務化の対象は、温室効果ガス削減のため、市条例で3年ごとに排出量削減計画書の提出を義務付けている一定規模以上の事業所。現在は、企業や大学など148ある。
 計画書は「エネルギー効率」「再生可能エネルギー」などの項目ごとに目標や具体策などを細かく記入する。条例改正か規則の変更で、項目に「エコ通勤」を追加するなどの形で義務化を目指す。罰則は盛り込まない見通し。市地球温暖化対策室は「事業者側には駐車場確保が少なくて済む利点もある。環境面だけでなく、公共交通の利用促進で財政難の地下鉄の支援にもつなげたい」としている。市は条例に基づき、温室効果ガスを1990年比で2010年までに10%削減する目標を掲げるが、07年で6%減にとどまり、達成への壁は高い。30年には40%削減を打ち出しており、今後、具体策を示して企業や市民に協力を求める方針で、エコ通勤の義務化もその一環だ。

本記事では,京都市における「エコ通勤」の義務化の検討について紹介.
2010年1月23日付及び同年2月22日付の各本備忘録でも取り上げた同市における『「歩くまち・京都」憲章』及び『「歩くまち・京都」総合交通戦略』.本記事では,同取組の一環として,「エコ通勤」の「義務化」を検討される方針であることを紹介.職員通勤における「モーダルシフト*1に関しては,2008年8月8日付2009年8月3日付同年10月5日付2010年1月10日付同年4月10日付の各本備忘録にて記録した「政策的手当」(と,下名が勝手に名付けておりますが,妥当なのでしょうか)を通じた取組が想定されなくもない.ただ,本記事を拝読すると,同市の京都市地球温暖化対策条例施行規則第4条*2に規定される,「温室効果ガスの排出量が多い事業者(原油に換算して年1,500キロリットル以上等)」*3の「排出量削減計画書の提出を義務付けている一定規模以上の事業所」がその対象とされ,「義務」化される模様.
「抑止効果は,フォーマル・サンクションの発動に伴って生じる,インフォーマル・サンクションによっても,もたらされる」*4とすれば,やや逆説的ではあるものの,「インフォーマル・サンクション」の発動を内包した「フォーマル・サンクション」の設計も想定されるのだろうか.要経過観察.

*1:藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門』(学芸出版社,2008年)18頁

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

*2:京都市HP(市の組織行財政局行財政局各課の窓口法制課京都市例規集)「京都市地球温暖化対策条例施行規則」(平成17年3月29日 規則第95号)久しぶりに,同市の組織図を拝見させていただくと,2009年1月28日付の本備忘録でも取り上げた,同市における環境政策局の「筆頭局」化を反映されておりました

*3:宇高文昭「地球温暖化対策条例制定から学ぶ・京都市」宇都宮深志, 田中充『事例に学ぶ 自治体環境行政の最前線』(ぎょうせい,2008年)148頁

事例に学ぶ自治体環境行政の最前線~持続可能な地域社会の実現をめざして~

事例に学ぶ自治体環境行政の最前線~持続可能な地域社会の実現をめざして~

*4:平田彩子『行政法の実施過程』(木鐸社,2009年)180頁

行政法の実施過程―環境規制の動態と理論

行政法の実施過程―環境規制の動態と理論