雫石町は10日、首都圏の情報発信拠点として初めて東京事務所を開設する。職員1人を都内に常駐させて、観光や農畜産物の情報発信、企業誘致などを行う。同町丸谷地の小岩井農場を経営する小岩井農牧(東京)と連携、同農場の全国的な知名度を生かして営業活動も展開。観光客の増加や企業との信頼関係構築を目指す。
 雫石町東京事務所は「財団法人まちみらい千代田」などが地方自治体向けに仕事場を貸し出す「市町村サテライトオフィス東京」(東京都千代田区)に設置する。同施設のフリースペースを拠点に▽物産展など催事企画▽観光パンフレットの配布▽旅行会社と提携した観光ツアーの企画▽町内移住の促進―などを担う。現地での活動費や職員の住宅借り上げ費用など総事業費は約600万円を見込む。
 町産農畜産物を提供する店舗に町が認定書を交付する事業を東京でも展開、町産食材の流通拡大を図る。小岩井農牧の社員とも連携。小岩井農場知名度を生かし営業活動を展開する。

本記事では,雫石町における東京事務所開設の取組を紹介.
同町が開設される空間は,2009年9月14日の本備忘録にて取り上げた「財団法人まちみらい千代田」が提供する「サテライトオフィス」.同オフィス開設後,利用状況を確認すべく同財団HPを拝読させて頂くと,「海士町」と「新庄村」に加え,「大鰐町の推薦により」「入居」されたという「特定非営利活動法人NPO推進青森会議」*1.2010年4月24日付の朝日新聞にて報道されているように邑南町もまた,同オフィスを「4月」に「開設」*2されたとの報道もある(上記財団HPには掲載されておりませんでした).
邑南町及び雫石町ともに,各記事を拝読する限りでは,同オフィスを通じた「情報入手活動」*3への比重よりも,比較的,2009年5月11日付の本備忘録にて触れたアンテナショップの設置や同年9月14日付及び同年12月1日付の本備忘録でも言及した東京事務所の取組とも共通する「情報提供活動」が主たる開設目的の模様.「募集団体」は「20団体」を「申込順で受付け」されていることからすれば,残り15団体での利用が可能となる.このように,いくつもの自治体が同一空間を利用することで,情報提供活動という同一目的に関する(限定されたオフィス空間の利用に関してではないと思いますが)「顔が見える競争」*4の効果もまた期待されそうか.
ただ,4月に開設された邑南町では「常駐する職員はいな」く,「情報収集や連絡などに当たる非常勤の現地スタッフ」*5を配置される一方で,本記事によると雫石町では「職員1人を都内に常駐」される予定,という.常勤・非常勤という職員配置体制の相異により,その活動の成果においても相異が生じるものだろうか.要確認.

*1:財団法人まちみらい千代田(千代田day's:まちみらい千代田:ニュースな情報)「市町村サテライトオフィス東京

*2:朝日新聞(2010年4月24日付)「東京オフィス 邑南町が開設

*3:大谷基道「都道府県東京事務所の研究−東京事務所不要論と国・都道府県の関係−」『年報行政研究44 変貌する行政』(ぎょうせい,2009年)174頁

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

*4:松井彰彦『高校生からのゲーム理論』(筑摩書店,2010年)109頁(昨晩,拝読.刺激を多く頂き,夜分に目が冴えてくるほどの非常に良い本でした)

高校生からのゲーム理論 (ちくまプリマー新書)

高校生からのゲーム理論 (ちくまプリマー新書)

*5:前掲注2・朝日新聞(2010年4月24日付)