福岡市の公共スポーツ・文化施設の利用申請と利用料決済を、インターネット上などで効率良く行えるシステム「コミネット」で、同一団体が団体名などを少しずつ変える手口により、市の内規で禁止されている重複登録を行っている疑いがあるケースが、市の定期監査で確認され、6日公表された。利用が抽選になったときの当選確率を上げる狙いとみられ、監査委員は「公平性の観点から問題がある」と是正を、担当部署に求めた。
 コミネットは143の市公共施設で利用でき、利用者登録すると、一部の施設を除きネット上などで利用申請が行え、利用後には登録口座から利用料が引き落とされる。
 ところが、登録した代表者住所、電話番号、口座名義人が一部重複する団体名が十数個あり、ある少年サッカー団体が内規に反して重複登録をしている可能性が浮上。ほかにも、数個の団体名を使っているとみられる少年軟式野球団体も確認した。この2団体が実際に抽選で利益を得たのかどうかは不明だが、施設に「特定の団体ばかり当選する」との声も寄せられているという。

本記事では,福岡市における施設利用に際するインターネット予約手続の利用状況を紹介.同手続に関しては,同市HPを参照*1
同システムに関する「福岡市公共施設案内・予約システム利用者登録要綱」を拝読すると,同要綱第2条において「登録者の区分」に関しては「個人登録及び団体登録」とされており,「団体登録は複数のメンバーで構成される団体の代表の方と構成メンバーが登録」できるものの「二重に登録することはできません」*2と規定されている.ただし,同要綱上では,団体登録を行った団体が「二重に登録」された団体であるか否かを同定するための,団体認証に関する基準及び手続を必ずしも明示はされてはないため,「間接的にしか行われない行政の確認」としての「信認」*3とも整理ができそう.
そのため,本記事において報道されている「同一団体が団体名などを少しずつ変える」団体に対しては,事後的な「情報収集」を通じた「対応戦略」*4を選択することが想定される.そのようななかでも,本記事で報道されているように「登録した代表者住所,電話番号,口座名義人が一部重複」された場合であれば,その対応的識別において,事実上及び形式上も同一団体として同定化を図ることは比較的行い易いようにも考えられなくもない(実際には,申告に基づく場合には,その識別が難しい部分もありますが).
しかし,例えば,同条の後段にある「構成メンバーが登録」された場合,同一構成員からなるものの「団体名などを少しずつ変え」た,形式上は異なる団体ではあるものの,事実上の「同一団体」として登録された「確信犯」*5の場合には,その認証が,既に団体登録された団体であるか否かの識別は困難になることも想定されそう.更には,同一構成員からなる事実上も形式上も異なる団体が登録申請された場合には,その「二重に登録」された団体であるか否かの識別は,より複雑となることも想定される.「信認」としての団体認証は,なかなか難しい課題.

*1:福岡市HP(市政情報広報・報道情報プラザコミネットシステム登録のご案内)「福岡市公共施設案内・予約システム

*2:福岡市HP(市政情報広報・報道情報プラザコミネットシステム登録のご案内福岡市公共施設案内・予約システム利用登録方法)「福岡市公共施設案内・予約システム利用者登録要綱

*3:エバーハルト シュミット‐アスマン『行政法理論の基礎と課題』(東京大学出版会,2006年)145頁

行政法理論の基礎と課題―秩序づけ理念としての行政法総論

行政法理論の基礎と課題―秩序づけ理念としての行政法総論

*4:森田朗『改訂版 現代の行政』(財団法人放送大学教育振興会,2000年)153頁

現代の行政 (放送大学教材)

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*5:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)67頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

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