垂水市は職員の仕事の足として新たに、黄色い公用自転車を配備した。放置自転車やごみとして廃棄された自転車のリサイクル。経費はペンキ代だけ。コスト節減やCO2削減、ダイエットなど職員の健康増進の効果を期待した。「気分をリフレッシュできる」とペダルをこぐ職員の評判も上々だ。(柴藤六之助)
 垂水市は、来年春の九州新幹線・鹿児島ルート全線開通をにらみ、観光対策に知恵を絞っていて、その一つとして貸自転車が浮上した。観光客に無料で貸し出し、観光スポットめぐりや体験学習などに活用してもらおうという狙いだ。垂水市など2市4町で構成する大隅肝属地区広域事務組合に、水迫順一市長が「観光と環境対策に役立てたい」とかけあい、同組合が運営する肝属地区清掃センターに不用品などとして持ち込まれた自転車を譲ってもらうことになった。同市は100台の確保をめざしている。
 「公用車」はその先行利用で、12台が調達できた4月から始めた。現在、市役所本庁舎や市民館など7カ所に計20台を配備。半径2キロ圏内の移動に活用するよう職員に呼びかけている。車体の色の選定理由は「目立つから」。手先が器用な職員がボランティアで塗装や自転車前部のかごの取り付けなどを手伝った。介護や税務、広報担当者らさまざまな分野の職員が利用している。市財政課の池松烈課長補佐は「4輪の公用車と違って自転車は路地から路地へと移動でき、今まで見落としがちだった町の変化に気付かされる。市民と職員がお互いに声をかけ合う機会も増えている」と話している。

本記事では,垂水市における公用自転車の取組について紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
「市職員が庁舎外を移動する場合,公用車や徒歩で移動」されてきたものの,同市では「市役所から半径2km圏内を移動する際は,公用自転車を利用することで、経費削減と時間の有効活用を行う」こと目的として,導入.本記事でも紹介されているように,「公用自転車」は,「放置自転車やゴミとして捨てられたもの」を「市職員の手によりリサイクル」され,「一目で公用自転車と分かるように黄色を配色」*2したうえで,利用されることが特徴.同市HPの画像を拝見すると,様々な車種が配置されており,黄色という単一の色彩のなかでも,彩りがあり,たいへん楽しい.
「所有者不明の大量の放置自転車の発生」に対して「多くの労力と資金を費やし」*3,「公共の場を阻害する」として,「自転車を除却して保管」される放置自転車.その保管後には,「売却」*4という選択肢があるものの,一方で,その一定期間の「保管」を通じて,「実務上はせっかく使える自転車を雨ざらしにして」,事実上の「廃棄物にして処分」*5されるとの観察結果もある.一方で,同市の取組を通じて「廃棄物」化を回避され,更には,2009年9月26日付の本備忘録でも取り上げた公用車のカーシェアリングの一種とも整理ができそうでもあり,興味深い取組.他の自治体における取組についても,要確認.

*1:垂水市HP(おしらせ)「垂水市黄色い公用自転車配備について

*2:前掲注1・垂水市垂水市黄色い公用自転車配備について)

*3:鈴木潔『強制する法務・争う法務』(第一法規,2009年)25頁

行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」

行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」

*4:阿部泰隆『行政法解釈学?』(有斐閣,2008年)27頁

行政法解釈学〈1〉実質的法治国家を創造する変革の法理論

行政法解釈学〈1〉実質的法治国家を創造する変革の法理論

*5:阿部泰隆『政策法学講座』(第一法規出版,2003年)33頁

政策法学講座

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