東京都議会(定数一二七)は三十一日、都議一人当たり全国最高の月六十万円が支給される政務調査費について、二〇〇九年度分の使途を領収書付きで公開した。〇八年十月の都条例改正で、一円以上の使途の領収書添付が義務化されて以降、現職都議全員の政調費の使い道が明らかになるのは初めて。
 都議の政調費は一部会派が独自に公開していたが、〇八年度分まで領収書の添付義務はなく、使途が不透明なため「第二の報酬」と批判されていた。都議会局によると、〇九年度の政調費の支給総額は九億円。このうち93%の八億四千万円が、調査研究や政策立案などの経費として使われた。使われなかった六千万円は剰余金として都に返納された。剰余金は〇七年度の八百八十万円、〇八年度の二千四百八十万円に比べて急増した。
 支出の裏付けとなる領収書写しを添付した公開資料は、A4判で二万九千七百三十一枚。支払先や支出の目的、内容を記載している。政務調査に当たるスタッフの人件費のように領収書で個人情報と判断される部分は、議会局が黒塗りにして明らかにされなかった。政調費の使い道で最も多いのは広報紙発行費の二億九千八百万円で、業者への作成委託料や印刷・製本代に支出。次いで、秘書給与などの人件費二億七千六百万円だった。会派別にみると、支給額トップは昨年七月の都議選で第一党に躍進した民主党の三億三千九百万円。続いて、自民党二億九千七百万円▽公明党一億六千三百二十万円▽共産党六千九百六十万円▽生活者ネット・みらい二千四百万円−など。
 政調費に関して条例で領収書添付を義務付ける動きは全国の地方議会に拡大しており、都議会は後発組。昨年七月の都議選で落選し、所属会派が消滅した元都議の三人分は先行して今年二月に公開しており、今回は現職全員と都議選まで在籍した元職分を明らかにした。
 閲覧は都議会議事堂二階で平日の午前九時〜午後五時半。有料で複写もできる。

本記事では,東京都議会における政務調査費の使途に関して,領収書付による公開の取組を紹介.同取組の概要は,同都議会HPを参照*1.また,010年9月1日付の同紙では,「主要会派」の「使途」*2も整理されており,いずれの会派においても人件費としての使途が最も高い様子が窺える.
2008年8月11日付及び2009年4月7日付の両備忘録にて整理した,地方自治法に基づく,各自治体議会の議員への,「議員報酬」(第203条第1項)という「第一の財布」,費用弁償(第203条第5項)という「第二の財布」,そして,政務調査費(第100条第13,14項)の「第三の財布」と(下名が勝手に)整理する「三つの財布」*3のうち,東京都議会における政務調査費における用途開示の取組.2010年8月31日付の読売新聞の報道を拝読すると,同都による「領収書公開」は「47都道府県議会のうち46番目」となり「残るは茨城県議会だけ」*4,また,同年9月1日付の同紙の報道を拝読すると,「領収書の添付を「5万円以上」としているのは全国の都道府県議会で兵庫,和歌山両県くらい」*5とのこと.
本記事でも紹介されている東京都に「返納」された「剰余金」に関しては,2010年8月31日付の日本経済新聞の報道を拝読すると,「約5990万円」と「前年度(約2485万円)の2.4倍」となり,同紙では「都議選と衆院選があり,政調費の対象にならない政党活動や議員個人の選挙活動などが増えた」こと,そして,「領収書の開示をにらみ,支出に慎重になったことも影響したよう」とも分析.後者の要因に関しては,2008年8月11日付にて記した「「まなざしによる規律化」仮説」の検証作業結果とも考えられなくはなさそう.興味深い.ただし,前者の要因を除した期間での使途への規律化の検証とともに,2010年8月31日付の共同通信による配信記事では「支給総額の3割を占めた人件費」に関しては「領収書の金額や支払先が黒塗り」*6とも報道されており,その公開基準内容が及ぼす使途の規律化に関しても,考えてみたい.