大阪府橋下徹知事は30日、府と大阪市を再編する「大阪都」構想をめぐり、現在24の区がある大阪市を8〜9の市にする案を検討していることを明らかにした。
 橋下氏は「大阪市を適正な基礎自治体の規模に分けて独立性を持たせ、市にすることが最新の都市の在り方になる」と述べ、意欲を見せた。橋下氏はこれまで、市を解体して特別区に再編し、それぞれに公選の区長を置くと訴えていた。今回示した再編案では法改正の必要がなく、地方交付税制度の財政調整を受けられる利点があるという。橋下氏は「(広域行政と基礎自治の)仕事の役割分担を明確化できれば、特別区に再編する構想に乗る必要はない」と述べ、統一地方選までに構想の検討を進める見解を示した。一方、橋下氏が代表を務める地域政党大阪維新の会」は、府議会(定数112)の議員定数を88に削減する条例改正案を9月議会に提出する方針を決めた。

本記事では,大阪府知事により大阪市の「分割」案を検討されていることを紹介.2010年3月25日付の読売新聞では,いわゆる「「大阪都」構想」として,堺市も含めた「20」*1特別区化も報道されているものの,同市に関しても,また「分割」案を想定されているのだろうか.要確認.
2010年8月25日に開催された総務省に設置された地方行財政検討委員会の第5回の第一分科会にて提出された「資料3基礎自治体の区分の見直し・大都市制度のあり方について]」を拝読させて頂くと,「指定都市制度は,行政区,議会のあり方など市長や議会が住民から遠く,住民自治の観点から課題があるという指摘についてどう考えるか」との「問題意識」*2が提示.同「問題意識」への一つの「考え」方.地方自治法第5条にいう「普通地方公共団体の区域は,従来の区域による」との規定に基づくとすれば,確かに,「従来」の区域からの廃置分合(分割)となり,「最新の都市の在り方」とも整理ができそう.
当該資料にいう「住民から遠く」という文言は,「民衆・被統治者側からの民主主義的入力が,為政者・統治者側からの統治権力という出力に対して不足していること」を指す「民政赤字(democratic deficit)」*3を想定された記述とは想定されなくはないものの,絶対的,相対的のいずれにせよ,「指定都市制度」に限定された「問題意識」となるのだろうか.仮に,地方自治法第7条に基づき,同市が「分割」を選択される場合,「関係市町村の申請に基」き,「都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め」る2段階の手続が想定される.「基礎的自治体には,平均的にいって「上位」類型への「昇格」を目指す潜在的な指向性が観察」*4されるなかで,「分割」という「自己決定」*5が図られた場合に,まずは,「民政赤字」の解消とも整理ができるのだろうか.考えてみたい.

*1:読売新聞(2010年3月25日付)「「大阪都」20区で…橋下新党が構想案

*2:総務省HP(組織案内研究会等地方行財政検討会議第一分科会第5回(開催日平成22年8月25日))「資料3基礎自治体の区分の見直し・大都市制度のあり方について」14頁

*3:金井利之「大都市自治体制度と「民政赤字」」『ガバナンス』No.97,2009年5月,27-28頁

ガバナンス2009年5月号

ガバナンス2009年5月号

*4:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)158頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*5:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)179頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治