大阪府兵庫県などが参加を表明している「関西広域連合」について、京都府山田啓二知事が設立のための規約案を9月議会に提出する方針を固めたことが13日、府幹部や議会関係者への取材で分かった。
 ほかの6府県は既に提出方針を決定。最後まで慎重姿勢だった京都府も同調する見通しになったことで、都道府県レベルでは全国初となる広域連合が年内にも設立される可能性が高まった。山田氏はほかの府県と足並みをそろえないと、設立自体に影響を与えかねないと判断したとみられる。
 ただ、広域連合の設立には参加するすべての府県の議会が規約案を承認する必要がある。京都府議会ではほとんどの会派が規約案への賛否を決めていない上、慎重論を唱える議員も多い。継続審議を模索する動きもあり、9月議会中に承認されるか流動的な要素も残されている。関西広域連合には、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、徳島の2府5県が参加を表明。共同で防災計画の策定や広域医療などに取り組むとしており、将来的には国からの権限移譲の受け皿になる。

本記事では,京都府における,関西広域連合設立に向けた規約案の提出方針について紹介.
2009年1月4日付及び同年8月2日付の各本備忘録でも取り上げた同広域連合の取組.広域連合の運営自体も然りではあるものの,その設立手続,段階に置いてまた,他の府県,そして,各府県内での議会内毎での「ペアを組みダンスを踊る」*1,合意手順が必要とも想定され,本記事でも紹介されている「提出方針を決定」済みの「ほかの6府県」の審議動向というフレーズに対して一対となったステップを踏むことが求められそう.「ほかの6府県」議会では賛成されつつも,同府においては「継続審議」との結論に至った場合,「ほかの6府県」はリズムに合わせ同府議会における審議状況を待ち,賛成に至った際に,一律に「広域連合」の設置とされるのだろうか.はたまた,同府の審議を見守りつつも,「ほかの6府県」による,いわば「「飛び地」広域連合」,又は,「「まだら」広域連合」として,段階的な設置がなされることになるのだろうか.考えてみると,興味深い.
2010年9月13日付の産経新聞を拝読すると,2010年4月23日付の本備忘録でも記録した,同府に設置された「大阪府自治制度研究会」において「中間とりまとめ案」*2を取りまとめられたことを報道.同案の内容に関しては,同府HPを参照*3.同案では,「広域自治体の範囲」に関して「周辺府県を含む大阪都市圏としての広がりを踏まえ,関西の範囲で広域行政を考えていくことが必要」*4として,「関西広域連合」に関しては,「新たな大都市制度の検討にあたっては,こうした関西広域連合の取組みも踏まえ,広域自治体基礎自治体のあり方を考えていくことが必要」*5とも述べられている.議論としての自治制度,実存としての自治制度の双方が「併発」*6に審議,検討されるなかで,これらの「輻輳制御(congestion control)」を,多くの主体の間で,どのように図られるのか,要経過観察.

*1:西尾勝行政学』(有斐閣,1993年)150頁

行政学

行政学

*2:産経新聞(2010年9月13日付)「「大阪市を再編」府自治制度研究会が中間とりまとめ案

*3:大阪府HP(府政運営・市町村政策大阪府自治制度研究会第7回 大阪府自治制度研究会(開催日平成22年9月13日))「資料1大阪にふさわしい 新たな大都市制度を目指して 中間とりまとめ(案)

*4:前掲注3・大阪府([資料1大阪にふさわしい 新たな大都市制度を目指して 中間とりまとめ(案))26頁

*5:前掲注3・大阪府([資料1大阪にふさわしい 新たな大都市制度を目指して 中間とりまとめ(案))27頁

*6:伊藤正次「国による「上から」の分権改革」森田朗・田口一博・金井利之編著『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年),22頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)